永年勤続休暇の裏の目的
バブル期に聞いた話
比較的大きな企業においては、永年勤続休暇といった勤続年数に応じた長期休暇制度を設定することがあるようです。これは基本的には福利厚生制度の一つと考えられます。しかし、バブル期にこんな話を聞いたことがあります。
勤続年数が30年にもなってくると、だんだんと「自分がいなければ会社が回らない」と考え始める管理職の人間が出てくるそうです。そういう人は時に部下に対して横柄になったり、自分のところで仕事の権限を握りしめて離さないなど、組織の活性化が進まないという問題を引き起こすこともあるそうです。
しかしそんな管理職が、たとえば長期間の休暇を取って復帰した時、自分がいなくても会社は回っていたこと、また自分が帰ってきても自分の居場所がない事などを自覚するのだそうです。そんなことに気付かせる仕組みである、とある方から伺いました。
管理職がその役割を果たしていない!?
管理職の人間の役割の一つに、「後進を育てる」というものがあります。その過程においては、やらせてみて、失敗をフォローしつつ、経験を積ませる、というステップが必要になると考えられます。しかし、中には「失敗経験を積ませる」ところで自分の経歴に傷をつけてはならなぬ、とばかりに部下に経験を積む機会を与えない管理職も少なからずいるようです。
組織として、そういった社員を育成したことを評価する仕組みを持っていない、ということもあるでしょうから、それも無理からぬ話です。つまり、多くの会社は「今の数字を最大化することだけに特化し、次を育てる仕組みを持っていない」ということではないでしょうか。
もちろん、研修制度などはつくっている会社は多いのですが、現場の経験を積ませなければ、手術経験を積まず机上の勉強ばかりで一人前を気取った外科医のようなものではないでしょうか。やはり彼らの手技は現場で磨かれます。ビジネスパースンもまた同様ではないでしょうか。
転ばぬ先の杖を出してはいけない!?
葛藤が人を育てる
失敗を経験せず成長する人、というのはそうそういないものだと思います。自転車の乗り方は知っていても、乗れるようになるためには何度も転びながら練習し、感覚をつかむことが大事だと思います。仕事もそういった部分が多いと思います。たとえば、センスは沢山の事例に接することで磨かれると言います。
しかし、たとえばあれこれと事細かに支持をする上司の元では、部下は操り人形。自分で考えることをやめてしまいます。有能な選手だからと言って名コーチにになれるわけではない、という言葉がありますが、それはある意味、教え子に失敗を経験させないから、という一面もあるのかもしれません。
だからあえて失敗をさせる。そしてその責任を上司がもつ。さらには会社はその上司を評価する。そんなしくみなり、リーダーとしての視点を持つことがなければ、永続的な企業を作る人を育てることは難しいように思うのですが、いかがでしょうか。
