社員を動かすしかけ

動かすというより、動きたくなる

モチベーション3.0

アメリカの著述家、ダニエル・ピンク氏は自身の著書で、モチベーションを3つの段階に分けました。非常にざっくり分けるとこんな感じです。

モチベーション1.0

生存のための行動欲求

モチベーション2.0

工業化時代の飴と鞭による行動欲求(外発的動機)

モチベーション3.0

内発的動機

モチベーション1.0は原始時代における、生存本能と言えばわかりやすいかもしれません。モチベーションはやる気と訳されますが、この時点ではやる気というより早期そのものですね。これが、工業化社会になると、為政者の圧力の配下で働く意欲を発揮させる方法が開発されました。それがアメとムチです。これは奴隷時代からも知られている方法と聞き及びます。この方法が、現在の企業においても当たり前のように繰り返されていることを考えると、それが余程効果的であったのでしょう。

しかし、ダニエル・ピンク氏はこれからの時代は、モチベーション3.0の時代であるといいます。内発的動機、つまり内から湧きあがる動機が人の原動力となる時代である、と言います。

人を外から変えられない

じつは、モチベーション2.0におけるマネジメントは、人を変えることは不可能です。表向きの行動を一時的に変えることはできても、それは人の本質を変えることにはつながりません。人が変わるのは、内面から起こるものです。これを例えば、大久保寛司先生は古事記における岩戸の伝説になぞらえてお話しされています。

岩戸に隠れた天照大神を無理やり引っ張り出そうとしても、相手は強固に拒否するだけでむしろ出るまい、と強く深く洞窟の中に入り込んでしまいます。しかし、神々はここで知恵を使いました。岩戸の前で宴会をやって、みんなでそれを楽しんだのです。けっか、その様子が気になった天照大神は、洞窟から顔を出しました。

まさにこれが、モチベーション3.0とかかわりのある話だと思うのですが、「自発的に行うよう仕向けた」というマネジメントを神々が行った結果でしょう。しかしややこしいことに、モチベーション3.0を引き出すには知恵がいるのです。

アメとムチは知恵がいらなかった

長年使われ続けた背景

マネジメント手法で、奴隷の時代から使われた「アメとムチ」方式。これがなぜこんなにも長く使われ続けたかというと、即効性があるということと、そこに知恵がいらなかったからです。しかし、一方で、人が本質的に変わるわけではないので、常に監視が必要になります。そうやってできているのが今の大企業の仕組みではないでしょうか。監視が必要だから、テレワーク中でも常にカメラをオンにしておかなければならないなんて言うルールができてくるわけです。

これが、モチベーション3.0を刺激する知恵をもってすればそんな監視はいらないと思うのですが、管理職は「知恵」を絞りだす手間を面倒がって、「監視」という仕事を創り出しているのかもしれません。

となると、美味しい仕事を手放す必要が管理職に出てきます。この人たちが、さらにやりがいのある楽しい仕事が必要なのかもしれません。

会社の楽しい未来

ある知人の会社では、こんな会議を定期的に開いているようです。「全部うまく言ったら何をする?会議」。中身はどういうものかというと、会社がうまく回って、ビジネスとしてしっかりと儲かる状態になったら、何をやるかを書き出す会議なんだそうです。手近なところでは、社内にフィットネス機器を揃えるとか、休日を増やすとか、そんな好き勝手に妄想する会議です。そうして、実際にそこでピックアップした夢を一つ一つ形にしていっているようです。そんな未来が、日々のモチベーションにつながっている、とその会社の社長はおっしゃいます。

工夫の仕方は様々だと思いますが、会社に所属することで夢が描けるカタチというのがこれからの企業に求められるものなのかもしれません。

Free-PhotosによるPixabayからの画像

人気記事

レンタルスペース

レンタルスペース

会社案内

会社案内

メルマガ登録

メルマガ・旬の経営情報
ページの先頭へ戻る