従業員教育、二つのアプローチ

一代で会社を成長させた2社へのインタビュー

それぞれに違う従業員教育

企業経営者あるいは幹部において、「社員教育は大事」という人は結構いらっしゃるし、本心からそう思っていらっしゃることと思います。しかし、そういった方々とお話をしているなかで、どうも話がかみ合わない部分があることにちょっとした違和感を感じていました。たとえば、社員教育が大事というA社は、社員研修をバンバン企画して社員全員に参加させます。一方で、B社はそういったことを特にするわけではないですが、朝礼がやたらと長いとか、仕事そのものより生き方についての対話が多いとか、そんな違うがあるように思います。

そのギャップはどこからやってくるのでしょうか?

あるパネルディスカッションで明確になった二つのアプローチ

そんなぼんやりとした疑問が、ある時明快に理解するに至る出来事がありました。それは私がある業界の会合で、2人の経営者をまえにしてのパネルディスカッションのコーディネーターという仕事をさせていただいたときのことです。

この時の二人の経営者に、なぜ一代でここまで会社が大きくなったのかを尋ねました。二人とも「社員を育てることに注力した」と言います。じゃあ、具体的にはどのように育てたのか、というとA社長は「できることを増やすための研修をやっている」といいますし、B社長は「仕事という手段を使って人間的成長を果たせ」と社員に行っていると言います。

TO DO、つまり何をするかというアプローチと、
TO BE、つまりどうあるかというアプローチです。

面白いのは、双方会社の発展という結果が出ているというところです。

仕事人としての成長、人間としての成長

成果にフォーカスする教育

A社長は、どうやら社員さんに対してけっこうな時間を研修を行っています。多くは座学の研修なのですが、それを何度も何度も繰り返し徹底的に行い、今までできなかったことを日々一つでも増やすということを社員に課しているようです。出来ないことをできるようにすることで、新しい経験をし、その経験から人は育つ。そんなカラクリなのではないかと思います。

会社は仕事をする場所だから、経営者としては成果を上げることが重要なので、そのための学習を徹底的にさせよう、というのがA社長の考えです。そしてそれは功を奏しているようです。

自身の成長にフォーカスする教育

一方、B社長の会社は朝礼が長いことで有名です。朝始まって、昼ぐらいまでやっていることが多いそうです。その間で何をしているのかというと、自分の人間的成長のための目標設定からその進捗を共有し、励ましあう時間のようです。

その会社は基本的にノルマのようなものはなく、比較的自由ですし、今の業種の仕事に限らず、別の仕事でも何でもいいから自分の力をお金に変える力を蓄えろと言います。そして、B社長が強調するのは、「仕事は手段。これを利用して、人としての成長を」と言います。

2人の社長に共通する要素

時間とコスト

営業会社で結構ありがちなのが、事務所でうだうだしている暇があったら、お客様のところへ訪問してこい!というパターン。事務所でいても売り上げはできないぞ、というわけです。しかし、この両社に共通しているのは、営業社員に対してかなり時間を使って教育をしているということ。当然その間営業はできないわけです。また教育係も、自分の時間を使ってひとに教える。つまり、結構な努力をしているというのは間違いのない事実と言えるでしょう。

道は違えど、同じ山を登る・・・とまではいわないまでも、社員を育てるということにコミットして、それなりに時間とコストを投じていることがゆるぎない共通点です。

つまり、どういう方法をとるのか、という以前にそこにコミットするか、ということがあるように思えます。中小企業ではなかなか人への教育に、時間やコスト、人を割くことが難しいと思います。しかし、あえてそれをやるという感性が、この2社の成長の礎となっているのではないでしょうか。

私たちは、社員教育にどれだけの手間をかけているでしょうか。もう一度見直す必要があるかもしれません。

Ananbelle LeeによるPixabayからの画像

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