経営者が社員に「任せる」という感覚

いまがよければいいのか、社員を育てるのか?

売上げ10億円を前に成長を止めがちな中小企業

以前に、五十棲剛史氏の『売上2億円の会社を10億円にする方法 業績アップの「設計図」、教えます。』という本を読んだとき、軽い衝撃を受けました。

私自身感じるのですが、いろんな中小企業において、売上が10億円につかづくと、いろんな事件が起きてかなり成長が後退するようなケースを目にします。そこまでいかないけどだいたい2億円を超えると、成長が鈍化するケースはけっこう目にするような気がします。

その理由は、非常に大雑把に言うと、社長が仕事を任せられないからだ、という風にこの本には書かれていたように思います。特に創業社長の場合、社内の隅々に気を配るあまり、仕事を任せられないから会社の成長が一定レベルで鈍化してしまう、というのです。

今が大事か、未来が大事か

では、仕事を任せるというのはどういう事でしょう。それは、仕組化仕事を社員にやらせる、という意味ではないように思います。マニュアル化されていない部分を含めて、社員に任せるという事だと私は考えています。何か不測の事態があった時、いちいち社長に確認せずとも、しかるべき部署のしかるべき人間が何をどうすべきか決定できる組織。それこそが、仕事を任せる、という事ではないでしょうか。

経営者としては、目の前でたとえば、お客様に迷惑をかけるようなミスが起こりそうな仕組みで動いていると、ついつい手を出したくなるでしょう。そんなやり方ではダメだ、と。これでは、いつまでたっても仕事を任せたことにはならないのです。手を出さず、問題箇所を指摘することはあっても、解決策を考え、解決するのは現場の人間でなければなりません。

となると、会社の運営の中では少し危なっかしいシーンも出てきます。あるいは、販売機会を喪失するケースもあるかもしれません。それでもなお、社員の経験値を高め、未来にかけるのが社員に任せる、という事ではないかと思います。

経営者は我慢が大事!?

口を出せない苦しさ

経営者としては、そんな社員を見ているとイライラするかもしれませんし、言いたいことを黙っているというのは結構つらいもの。しかし、もう一度目的を確認してみてください。今の会社の売上のために仕事をするのか、将来に向けて会社が成長し続けるために仕事をするのか、という事を。今だけがいいなら、何もかも社長がやりたいように手を出せばいいと思います。ただし、その場合、会社の伸びは一定レベルで必ず止まってしまいます。しかし、それを超えて成長させたいとすれば、自分で考えて動ける社員を育てることが重要になります。

結局は、経営者としてどちらの道を選択するか、という岐路に立たされているのかもしれません。経営者にとっての大事な仕事は「決断」である、という事はよく言われます。決断とは、決めて、断つこと。会社や社員の成長と、イライラを今すぐ解消したいという思いをスッキリさせることと、どちらを選ぶかの決断はとても大事なことなのに、話として持ち上がることは少ないと思います。

ぜひ、この機会に、どちらを選ぶのかを考えてみてはいかがでしょうか。

John HainによるPixabayからの画像

人気記事

レンタルスペース

レンタルスペース

会社案内

会社案内

メルマガ登録

メルマガ・旬の経営情報
ページの先頭へ戻る