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社員にとってアイデア出しは業務ではない!?
マネージャーと社員の感覚のギャップ
経営者の方とお話ししていると、よく「社員が積極的にアイデアをださない」とか、「業務の改善を自発的にやろうとしない」と頭を抱えておられる方がいらっしゃいます。当社でも、それがしっかりできてるとは言いませんが、実はコツがあるのではないか、と思うのです。
少し、一般社員の感覚に身を置いてみましょう。社員と言えば毎日の仕事は決められています。マニュアルで明確にされている場合もあれば、OJTで先輩から習ったこともあると思います。日々そういった流れの中で仕事をしているとき、ふと、疑問がわくこともあるでしょう。
「なぜ、この仕事はこの手順で行うのだろう?」
「この作業は必要がないと思われるのに、なぜ続けているのだろう?」
「こうすればもっと早く終わるのになぜそうしないのだろう?」
しかし、社員にとっては仕事が全て見えているわけではありません。「きっと、何か意味があるからやっているのだろう(納得は行かないけど)」と自分を納得させて、引き続き仕事を行います。
マネージャーからすれば、「そう思うなら、改善提案をしてくれればいいのに」と思うわけですが、社員は「それは自分の仕事ではない」と考えています。むしろ、全体を見通せるマネージャーの仕事ではないか?と思っている事でしょう。しかし、マネージャーには現場の情報はありません。お互い譲り合いのポテンヒットのような状況に陥っている可能性がありそうです。
ある程度の強制で癖づけを
自分の仕事ではない、と思っている社員に、あなたの仕事ですよ、と思ってもらうにはある程度の強制力が必要になります。かといって「改善を提案せよ!」と闇雲に言っても、そうそう提案が出てくるとは思えません。
そこで軽い感じでやってみるのがおすすめです。
実効性があってもなくてもOK。とりあえず面白いアイデアを思い付いた人が勝ち、的なゲームを仕掛けてみてはいかがでしょう?
そうやって、なんでも口にしやすい環境を作ると同時に、自分の手元だけを見ている今の視点をもう少し広く持ってもらう工夫をしてみます。

ある企業のチャレンジ
31プログラム
あるアメリカの企業では、毎月、マネージャー全員が
・収益を増やす
・コストを減らす
・顧客あるいは社員のために何かを簡単にする・楽にする
という視点で3つのアイデアを毎月提出するよう決めました。
その月の上位のアイデアに20ドルのボーナスが支給されるという仕組み。
日本でやる場合、お金を渡すのがいいかどうかの議論はありますが、こういったアイデアをまさにブレーン・ストーミングのように出し続ける、というのは社員の嗜好訓練になると思います。
31プログラムを実施したアメリカの企業はそこそこカチッとした提案を求めたようですが、私がおすすめするのはまずは緩い感じで、「どんな提案でもOK」とすることで、どんな意見も気軽に言える環境づくりから始めるのが良いのではないかと思います。
意見の交換を通して社員は学習を深める
こういった様々な人が、様々な(時には非現実的な意見も含めて)意見を交わすことで、参加者の脳内に様々な刺激がもたらされます。ポイントは、「収益を増やす」「コストを減らす」「楽にする」という三つの要点に視点が絞られている点。
ここから外れない形で、皆が意見を交わす中で、いずれ実行可能なものが出てきたり、場合によってはすぐやることができるのにやってなかったことに気付いたりもします。
こういった仕掛けをして初めて社員は、業務の改善案を出すようになります。それは、改善し続けることが自分の仕事であるという自覚をするとともに、社内で意見を言ってもいいんだ、という会社へのロイヤリティも高める過程になると思われます。
