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会社の中で起こりがちな部門間の対立
営業と事務は犬猿の仲?
ある会議にたまたまメーカーである保険会社の社員さんがオブサーバーとして参加されていました。彼は言います。「今社内のコミュニケーションに問題はないですか?特に、営業と事務間で…」
事務社員はそれを否定しましたが、実際のところはこういった部門間のコミュニケーション不全があるというのは良くある話です。
たとえば、営業と事務で言えば、営業は事務の都合を考えず仕事を振ってくる、と言われがちです。一方、事務から見た営業は、もっとさっさとすればいいと思っていたり、なぜこのくらいのことができていないのか?と考えていることも多いようです。
他にもよくあるのが、マーケティングと営業の衝突。営業は今の売上を司り、マーケティングは未来の売上です。営業はマーケターの恩恵を受けている事にも気づかず、マーケティング部を批判しますし、その逆もしかり。
目的は「自分の評価」
こういったことが様々な組織で起こっている事と思います。これはいろんな理由があると思いますが、一つは自分の評価を落とさないための自己防衛本能ではないかと思っています。会社は一人ですべてを完結するわけではないので、どこかで問題が起こると仕事が滞ります。それは自分のせいではない、という事を主張したいという事と同時に、誰かが失敗することで自分が窮地に追い込まれたり、大変な思いをしたくない、という考えがあるからではないかと思います。
そういう意味では、個人をベースに評価した時、見えない自分の苦労をアピールすることで、自分が正しく評価されたいという思いの表れだと思います。
これはある意味、常に「自分が失敗したらひょぅかを落とされる」という恐怖心から来るものです。最近、「心理的安全性」という言葉が注目を浴びていますが、まさにそういったことと密接に関係があるのではないかと思います。

相手の気持ちがわからない
それぞれの立場では気づかないことも多い
たとえば、事務であれば「いつも至急ではなくて、ある程度ゆとりをもって資料作成を頼まれればこちらも計画的にできる」という気持ちを持っているでしょう。そして営業は、「ホットなうちにクロージングしなきゃ」と焦っていたりもします。実態をよく見ていると、営業が夕方に帰ってきて就業間際に事務に「至急の仕事」を言いつけるから、事務社員は残業が増えている、という実態もあるかもしれません。
そうなれば、かなり深刻な経営問題です。
余談になりますが、働き方改革が注目される昨今、「定時で帰れ!」と号令をかけてもほとんど意味がありません。こういったパズルのピースがおかしな形でかみ合っているから仕事の時間が延長されることを、経営陣は知っておいたほうがいいでしょう。このパズルのピースをきれいに組み立てれば、かなりの時短が実現するケースはけっこうあるものです。
やってみるのが一番
ここで試してみたいのが、ジョブシェアリングとでも言いましょうか。仕事を交換してみる事です。営業やっている人なら、1週間だけでも事務の仕事をやってみます。すると、丸一日事務所にいて、事務作業することがどれだけ大変かがわかります。そして、自分なりに計画してこなしている仕事が、営業が帰社して言いだす至急仕事がどれだけ腹立たしいかがよくわかります。
それに気づけば、次からは気を遣うかもしれないし、せっかく作ってもらった資料を結局いつまでも手持ちしてるような不義理はしない。そして、成果が出れば、作ってくれた人とともに喜びを分かち合う、という事もできるかもしれません。
人間の想像力は、意識しないと働きません。それを仕事中働かせて、他人をおもんばかる人は意外と少ないのかもしれませんね。であれば、体験してもらう。これが案外手っ取り早いチームの協働を創り出すコツなのかもしれません。
