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大企業の組織図をまねてはいけない!?
無駄な人的コストが割けない中小企業こそ
保険代理店という業種は、金融業の端っこに位置する業種です。したがって、金融業が求められる社内のマネジメント体制を構築せよ、という世論があります。
なるほどそれはまっとうな話です。
そういった中で、よく言われるのが、「組織図を作れ」というものです。
会社の中での指揮命令系統を明確にせよ、ということなのですが、ここで私は思わず吹き出しそうになりました。当社はたった8人の会社です。こんな小規模の会社で、組織図とか、指揮命令系統とか、ちゃんちゃらおかしいわけです。
同じフロアで全社員がいて、顔の見える場所で、声の届く距離にいる。そういったときに形式的な組織図が果たしてどんな意味を成すのでしょうか?私はそんなバカげたことに時間を割く意味が理解できませんでした。
そもそもこの規模の会社であれば、社員はたいてい自分の職業範囲をまたいで仕事をしたほうが効率が良いのです。これを私は「餃子の王将」オペレーションと呼んでいます。
「餃子の王将」がなぜ早い、安い、うまい、を実現できるか
餃子の王将の少し大きめの店を観察してみてください。大きな店にたくさんの社員が働いていますが、彼らは店内のどんな仕事もできます。たとえば、ウェイターは、キッチンの調理も簡単なメニューならこなします。調理の人間がオーダーをとることもあれば、レジの人間がレジに張り付いていることはまれです。誰もがどんな仕事でもできるから、早い、安い、うまいが実現できます。
あくまで外から見た観察なので正しいかどうかはわかりませんが、王将の強さの理由はそこにある、と私は考えています。これが専門分化させると、暇になる社員がぽつりぽつりと出てきます。
たとえば、こういった飲食店の場合、急に満席になるとオーダーが一気に入り、キッチンは大混乱。オーダーを終えたホールスタッフは、たいてい料理ができるまで暇を持て余します。このヒマな人間が調理を手伝うことができれば、効率アップをはかれます。
つまり、大企業のような専門分化の組織は、小規模な中小企業ではそぐわないことが多く、大企業のようにある程度人件費にゆとりがもてる企業にのみ許されていること、と考えるほうが良いかもしれません。

中小企業の組織図は「役割」重視
組織が大きくなるとその維持のための労力が大きくなる
ご承知の通り、組織が大きくなると間接部門が増えてきます。総務やら、人事やら。さらには内部管理体制だの、書類の整備だの、会社の前向きな力とは別の形で力をかける必要が出てきます。組織は大きくなると、その維持のためだけに莫大なエネルギーが消費されていきます。
しかし、中小企業でそんなことをしている余裕はありません。だから、命令系統だの、権限だの、という縦割り的な考えよりも、実務的な役割で考えて行くのが方向性としては中小企業の風土に遭いやすいのではないでしょうか。
たとえば、会社の中での重要なプロセスをいくつかピックアップします。そしてそのプロセスに関する責任者を明確にします。そのうえで、重要な指標(KPI)を定め、そのプロセスをどういう方向に改善させるかを明確にしておく。そういった「役割一覧」こそが組織図に近い機能を果たすのではないかと思われます。
もちろん、人が50人ほどになってくれば、大企業を模した組織図も必要になってくるでしょうが、少人数の場合においては、役割一覧で十分ではないかと思われます。
必要なものとそうでないものを考える
どうしても中小企業は大企業を手本にしがちですが、私は大企業と中小企業は別物だと思っています。もちろん、将来上場を狙うなら、それを前提とした組織づくりが必要ですが、さしあたってそういった予定がない場合は、むしろ機能重視のスリムな組織を心掛けたほうが、理にかなっているように思います。
もちろん、企業の状態は各社様々ですから一概には言えませんが、そんな視点で組織を見直してみてはいかがでしょうか。
