社員教育は「選択」と「集中」で

スキルのマスターは、短時間の繰り返し

即戦力が必要なタイミングで即戦力をはじいた採用

以前当社は、社内の事務社員が一斉に退職することがありました。日々の業務を滞らせるわけにはいきません。ということで、社長である私自ら事務をこなし、代わりの社員の採用面接を行い、とけっこう大変だったことがあります。

こんな大変な時こそ、実は比較的教育が容易と思われる「同業種の経験者」を採用したいところ。しかし、私はあえて「未経験」であることを重視しました。なぜなら、これから当社は、業界の常識から外れた会社にしていきたいと思っていたからです。それ以外にも、同じ業界の人間は、それぞれ自分のやり方(つまりクセ)を持っていて、それが当社と合うものならいいのですが、たいていはそうではないことが多い。しかも、その場合、新しい職場のやり方より、「自分が過去に行ってきたこと」を尊重する傾向があります。

そういう意味で、経験者をとりたくなかったのです。

ゼネラリストを育てようとしてはいけない

こういった緊急事態には、悠長にゼネラリストを育てようとすると大変です。特に、当社の場合、事務社員がいなかったので、「まずは留守番ができて、比較的量の多いルーチン作業ができる」ことが重要でした。

私ども保険の業界は、様々な業種を経験した事務のスペシャリストのような人が、「このような多様で煩雑な処理は今まで経験したことがない」というぐらい複雑です。ですから、あれもこれも、と教え始めるときりがありません。一般的にこの業界の事務社員は、1人前になるまでに3年くらいはかかると言われています。しかし私は、出来る事なら2カ月で留守番を頼めるレベルになってほしい。そうなると、必然的に、業務の頻度や重要度を考えながら、優先順位を決めていかねばなりません。

まずは自動車保険から

まったくの未経験者を雇うと、当社のような保険代理店では「用語」からつまづきます。ですから、用語を教えることと並行して、事務処理の方法を教えていく。処理も単に右から左に流すものではなく、いくつかのチェックが必要なので保険の知識は不可欠です。

そこで、数百種類ある保険の中から、はじめの三カ月は自動車保険以外のことは一切しない形で教育を勧めました。なぜなら、お客様からの電話による問い合わせは8割がた自動車保険に関するものです。しかも、扱う量も自動車保険が圧倒的に多かった。そんなこともあり、身体にしみこむまで自動車保険の業務だけを徹底的にこなしてもらうことにしました。

mohamed HassanによるPixabayからの画像

段階ごとの目標を明確に

私が外出できる状態を……

この時、幸か不幸か、明確な目標がありました。それは、事務所を任せて私が外出できる状態を作ることです。そのためには、前述の通り、「お客様からの電話」を分析し、その頻度の高い順に一つ一つこなせるようにして言うことから始めます。そうすると、2カ月を待たずして私は事務所を任せて外出できるようになりました。そこから少しずつ知識の範囲を広げていくことで、今やすばらしいパフォーマンスを発揮してくれています。

あれもこれも教えるより、集中したほうが習得が早い

よく言われる話ですが、記憶というのはなかなか定着しないものです。きょうおぼえたつもりのものでも、明日になれば7割は忘れていると言います。

ご参考:エビングハウスの忘却曲線

  • 20分後には42%忘れる
  • 1時間後には56%忘れる
  • 9時間後には64%忘れる
  • 1日後には67%忘れる
  • 2日後には72%忘れる
  • 6日後には75%忘れる
  • 31日後には79%忘れる

だからしっかりマスターするためには、繰り返し復讐することが必要です。そのためには、今日はこれ、明日はあれ、という風に都度テーマを変えるより、今日はこれ、明日もこれ、と重ねていき、身体に沁みついてから継のステップにうつるほうが、学習効率は高まると考えられます。

教育マニュアルを検討するなら

ということで、社員教育を考えるときには、教えることを選択し、集中させ、繰り返す。そうやって、しっかりとできた知識やスキルの基礎の上に、新たな知識を積み重ねていく、というのがおすすめです。

Stephanie AlbertによるPixabayからの画像

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