経営者の方がよくおっしゃる言葉に「社員に経営者意識を持ってほしい」というのがあります。具体的に経営者意識とは何ですか?と聞くと
・自発的に会社の売り上げに貢献し
・コスト意識を持ち
・より良い会社にするための工夫をし
・後輩を育ててくれる
といったことを意識することだとおっしゃいます。
それ、経営者そのものじゃないですか!?(笑)
目次
社長は自分の分身を求めている
いいとこどりしたい社長!?
冒頭の話にあったように、恐らく多くの中小企業の経営者は自分の分身を求めています。自分のように考え、自分のように行動し、自分のように成果を上げる人間です。自分の右腕のような人間ではあるのですが、一つ条件があるんじゃないでしょうか。経営者自身に反抗しない社員です。
コピーロボットというのはご存知でしょうか?藤子不二雄のコミック、パーマンに出てくる身代わりロボットですが、たぶんそんな存在を中小企業経営者は求めているのかもしれません。
本当にそんな社員が現れると怖い
一方で、実際に本当にそんな社員が現れるとどうでしょう?たぶん、社長としては社長の地位が危ないんじゃないか。そんな不安を感じるんじゃないでしょうか。そして無意識に、少なくともその人間に自分と同等レベルの報酬は払わざるを得ないだろう、と考える。
中小企業の社長にとって、実は優秀すぎる社員は「リスク」なのです。逆に考えてみましょう。あなたがどこかの会社で仕事をすることになって、その社長より自分のほうが仕事をしているし、実績も上げている。なのに、社長が権力をもち、報酬も社長には遠く及ばないとしたらどうするでしょうか?クーデターを起こすとか、会社を起業するとか、そんなことを考え始めるのではないでしょうか?
社長の立場としては、そんな危なっかしい社員はいないほうが安心できます。
つまり、中小企業の経営者は、「自分レベルに仕事ができる人が欲しい」と思いつつ、「自分レベルの仕事ができる社員を排除している」可能性は非常に高いと思います。そういう社員は、面接でハネたり、飼い殺しにしたりしがちです。
絶対に望めない理想に近づく方法
中小企業において、経営者は自分の身を護るため、無意識に「優秀すぎる社員」を採らない傾向があります。経営者と違うタイプの人間や、経営者に反抗しそうな人間、みんな排除してきたと思います。私自身も実は何度か経験があります。その社員は、非常に柔軟な考え方を持ち、素晴らしいキャリアを持っていますが、結局「社風に合わない」という理由で採用を見合わせたことがあります。他の社員が影響を受けるのが怖かったからです。
そうはいっても、少しでもレベルの高い社員を育てていきたい、という思いはあるわけです。今はアクセルを踏みながらブレーキを踏んでいる状態だとしても、少しずつブレーキを緩めることは可能なはずです。その方法について、考えてみましょう。

社長の意識改革
自分が一番であることを捨てる
中小企業の経営者というのは負けず嫌いの方が多い。だから、社員に一つでも負けていると悔しくて仕方がない。特に自分がこだわっている仕事における部分については、絶対に負けたくはないのです。
そうすると、社員のちょっと普通ではない提案や、業界の一般論から外れた提案を無下にしがちです。そういったルールが変わると経営者はトップでい続けることが難しいからです。
本来は、そういった変化を含めて、「やってみよう」と言える心の持ち方が必要になりますが、たぶん難しいでしょう。だから提案したいのは、とっとと実務から離れてください、ということです。
任されると、人は責任感が出る
なぜかというと、自分でできる仕事は無理やりにでも自分が一番でありたいと行動してしまうのです。だから仕事をでき亡くしてください、という提案です。自分が一番であるために、知らず知らずのうちに社員の創造性や、アイデアや提案を踏みにじっているはずです。あなたが実務は「もうわからんから任せた」と言った瞬間から、社員は本気を出し始めます。
今までは何かあっても、社長に相談すればよかったのですが、社長ではもう話にならない。じゃあ、自分がやらなければ・・・となるわけです。他にやる人がいなければ責任感が出ざるを得ません。そうすると、社員は一気に成長を始めます。

いきなり、難しい提案だったかもしれません。しかし、効果てきめんです。次回以降何回かに分けて、理想の社員を作っていく方法を考えてまいりましょう。