社有車の事故を減らしたいなら・・・

仕事柄、様々な企業のお車の保険を扱わせていただいております。すると不思議なことに事故を起こしがちなお客様と、そうでないお客さまには明確な違いが現れます。それは経営者や、経営幹部の違いです。この違いが、末端の社員の交通事故に影響するというのはにわかに信じがたいと思うのですが、実際にはかなり強く影響しています。

社有車の事故がほとんどない会社の特徴

ある企業の代替わりで起こったこと

永年のお客さまで、ここ10年くらいかけて社長の代替わりが行われているところがあります。その会社は、今は30台ほどの社有車を所有していますが、事故はここ数年ほとんどありません。しかし、この企業、先代が陣頭指揮を執っていた15年ほど前は、かなりの事故率だったのです。

経営者が変わって、なぜ事故率が下がったのでしょうか?就業規則を厳しくしたわけでもありませんし、体罰的なことを導入したわけでもありません。ただ変わったのは、経営者の事故に対する認識です。

営業優先か、倫理優先か

その企業の前の社長は、とにかく営業優先でした。毎年のように事故を起こす営業担当者がいましたが、先代社長は彼の事故を叱るどころか、営業成績をたたえていたぐらいです。先代社長の優先順位は、「売上」があって「安全」は二の次です。そのトップ営業マンは、ある年、1年の間に3回も事故を起こしていました。一つ一つの事故は決して大きなものではありませんが、いずれ大きな事故になる可能性はある、というのは「ハインリッヒの法則」として安全管理の世界ではよく知られた話です。

先代社長に、「さすがにあまりに事故が続いているので、何かしらの対策を」と提案するも、「こいつは営業の要だから、コイツを責めるようなことは許さない」的な反論を頂きました。しかし、その時に後継者の方が、間に入ってくださいました。小さな事故が、後に大きなものに発展するリスクを理解いただいた後継社長は、その社員に相応の注意を促しました。最終的には、営業車を取り上げるというところまでの話をされたそうです。

Capri23autoによるPixabayからの画像

その会社の行方

ほとんど事故のない安全企業

その会社、今ではすっかり代も変わり、先代はほとんど会社には来ることがありません。会社の中では、安全志向が徹底されており、詳しく伺うと当時のトップ営業マンは退職したそうです。

じゃあ、会社としての売り上げは?というと今も伸び続けています。業種全体で見ると元気のない業種ではあるのですがなぜかこの会社は利益を出し続け、成長を続けています。

交通事故を起こさない会社のつくり方

社員は一人の問題社員が辞めただけ。車も変わらず、環境も変わらない中で、どちらかというと事故多発企業がいまやまったく事故のない会社になりました。変わったのは経営者だけです。これも、人が変わる必要が必ずしもあるわけではありません。

単純に言えば、経営幹部層が、「交通事故は減らすべき重要な経営課題である」という認識をしているかどうかだけです。そういった思いがあれば、その雰囲気は社員に伝わります。そして社員は、事故を起こすわけにはいかない、と運転に注意を払います。もちろん交通事故は避けることはできないものもありますが、ほとんどが「それなりの注意をしていれば避けることは可能」であると言えます。

その心構えは、上層部が本気にならなければ社員には芽生えません。

そしてこういった倫理的なマネジメントは、会社の風通しを良くします。事故を起こしてでも売上を上げよ、と言っていた時代とは違う形で社員が、顧客が、反応し始めて未だに売り上げはどんどん上がっているのです。

さすがに、売上を上げたければ事故をなくせ、と言い切れるものではありませんが、案外とそのほうが近道になるのかもしれませんね?

A JobainによるPixabayからの画像

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