社員が自発的に動き出すために必要な3つのポイント

多くの経営者が口にする悩みがあります。それは、社員が自分から考えて動き出すことのない、ということです。たとえば、いつも顧客から同じようなクレームを受けているのに、そのクレームが起こるような工夫さえしない、というものです。

こういった社員が自発的に改善を始めるためには、何が必要なのでしょうか?

社員にとっての優先順位

社員は行動を変えることにリスクを感じている!?

マニュアルにある内容であったり、先輩から教わった方法は、社員にとっては重要なものです。多くの場合は、それがいかに合理的でなかったとしても、自分にはそれを変える権限はない、と思い込んでいることが多いと思います。だから、いつもクレームが出るような業務フローがあったとしたときに、「どうすればクレームがなくなるだろうか?」と尋ねれば、気の利いた社員なら即座に「こうすればいいのではないでしょうか?」とアイデアが出てくることがあります。

彼らは、問題を認識しているし、改善策も内に持っている場合さえあります。しかし、そういった社内に変化を起こす権限を持っていない、と考えていることは少なからずあります。

また、そういった提案を行うには、それなりにリスクを負います。自分の発言がもとで出来上がった仕組みがうまくいかなかったとき、自分が責められる可能性があるからです。

風通しのよい風土を作るのは難しい

ならば、そういったことを気軽に言い合えるようになればいい、と考えられます。しかし、そういった風土を作り、定着させるのは非常に難しいことが多いと思います。ある企業では、社員から意見を求め続け、1年たってやっとぽつりぽつりと意見が出始めたと言います。それぐらい、会社の組織の統制への心理的なリスクは大きいもののようです。

社員にしてみれば、「意見を口にしたところで評価されるわけではない。むしろ、自分自身の失敗の種をまかないことこそが企業の中で生きていく最優先事項である」という思いを無意識のうちに持っているのかもしれません。ならば、リスクを冒してまで意見を言うことなど、割に合わないことになります。

心理的安全性と伝統的組織

チャレンジャー号の事故は予測されていた!?

スペースシャトルのチェレンジャー号の爆破事故を記憶に残している方も多いと思います。この事故の原因は、現場のスタッフが打ち上げ前に予測していたといいます。しかし、その指摘が上層部に取り上げられることもなく、発射を強行してしまったと言います。

もともとNASAといえば、軍隊のマネジメントを踏襲する組織だときいています。それはつまり、上官は自分より優れているし、自分が意見する立場にない、という考え方がベースになると想像されます。この事故の根本的な原因は、そういった組織の問題が色濃くある、と指摘する人もいるようです。

末端スタッフの意見を取り上げる風土

こういったスタッフの意見を重視し、聞き入れる風土がなければ、スタッフは次第に意見することをやめてしまいます。中小企業においては、やはり多くの場合絶対的な能力と決定権を持つ経営者がいることが多く、社員が経営者に意見するなどというのはご法度、といった雰囲気がある場合も多いと思います。しかも、社員は失敗を恐れています。

そこで、近年のマネジメントにおいては、「失敗」を奨励し、現場の意見を重視する方向性にシフトしているケースが多いようです。そこで重要となるのが、心理的安全性と言われるものです。これはどういうものかというと、簡単に言えば「何を言っても、大丈夫」という状態を指します。人は意見を言おうとすると、自分の考えはバカげていないだろうか?レベルが低いと言われるのではないだろうか?否定されるのではないだろうか?というお恐れを抱きます。そういった恐れを払しょくすることが、心理的安全性を確保する、ということになります。

心理的安全性を確保するポイント

①誰もが平等に発言の機会を持つ

情報の滞りが発生しやすい組織は、多くの場合、特定の人のみが発言していることが多いと思われます。例えば会議の場において、リーダーが一人語り、他の全員が聞き役に回っている、ということが多いと思われます。

これはつまり、誰の意見も求めていない、という無言の圧力ともいえます。まずは、全員が発言することができる機会を作ることが重要になります。

②一人一人の発言が重要視される

一人一人の発言が常に的を射たものではないことも多いでしょう。しかし、それでも即座に「そんな意見はダメだ」と否定するのではなく、まずはその発言一つ一つをしっかりと取り上げる必要があります。リーダーにとっては少しもどかしい時間を感じる(多くの場合、一般社員の出す意見はリーダーにとっては想定内の物ばかりだとおもいます)こともあるかもしれませんが、即座に否定するのではなく、一つ一つの意見を吟味するステップが重要です。

このステップは、実は組織全体の学習に寄与する場合も多いので、回り道する可能性も含めて受け入れる姿勢を持つことをお勧めします。
またこれは、①とあわせて、一人一人のメンバーが、チームにとって重要な人間であることを示すステップでもあります。

③失敗(の報告)を歓迎する

多くの場合、人は失敗を恐れ、失敗を隠蔽しようとします。これは今のコンプライアンスが厳しい時代には非常にデメリットだと思います。しかし、失敗を積極的に報告すること、そして失敗を経験することを奨励する風土ができればより良いと思われます。失敗から学ぶことはありますし、ある経営者は、「失敗をしない人は、何のチャレンジもしていない」として批判さえしているくらいです。

決まりきった業務フローをやっている限り、失敗は少なくなりますが、あえて失敗を経験してでも新たなことにチャレンジする風土はとても重要でしょう。

社員を信じることから始まる

こうやって見ていくと、リーダー層にとってはけっこうな忍耐が必要だと思います。そして、失敗をした際の後始末の手間も一時的には増えるかもしれません。しかし、そういった試行錯誤が始まるためには、上司が部下の可能性を信じることがそのスタートと言えそうです。

その信頼関係があれば、組織は一気に成長を始めるのではないでしょうか。

参考文献



画像提供元 WikiImagesによるPixabayからの画像

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