企業における損害保険

「物」「休業」「賠償」「人」という4つの分野

4分野の概観

企業が保険を検討するとき、一般的に4つの分野を検討いただくことになります。一つ目が「物」に関する保険。具体的な種類としては、火災保険や動産総合保険、自動車保険でいえば車両保険ということになります。

この保険は、自社で所有するもの(たとえば社屋や什器備品、車両や商品など)を火災などで失った場合に保証を受けることができる保険です。

そして火災に関連して考えられるのが、休業の保険です。火災がおこれば翌日すぐに営業を災害出来ないこともあります。にもかかわらず家賃や、従業員の給与などの固定費の支出は止めることができません。そういったことに備えるのが休業保険です。

そして賠償保険は「第三者」に対して賠償責任を負った場合の保険。たとえば、来店客にけがをさせたとか、仕事中他人の物を壊したとかいうときのための保険です。この賠償保険は用途によって細分化されており、たとえば仕事中全般を通して補償するのが施設賠償責任保険。他に有名なところでは、PL保険(製造・販売した商品がお客様の手に渡ったのちに、商品の瑕疵が原因でお客様にけがをさせたりした場合の保険)などがあります。

最後に「人」の保険というのは、主に従業員への保障を指します。一般的には労災保険の上乗せのようなものが有名です。

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誤解の生じやすい「物」保険と「賠償」保険

お客さまで比較的誤解が起こりやすいのが、物保険と賠償保険です。賠償保険は第三者の「物」を壊したことも対象になるため、ごちゃ混ぜになりやすいようです。ここではっきりさせておくと、「物」保険は自社が所有するものが補償の対象です。一方、「賠償」保険は、第三者がもつ物を破損させた場合(かつこちらに過失がある場合)が対象となるものです。

物の修理代が出るというところは共通点ですが、その所有者が違うというところをご理解ください。

どの保険を優先させるべきか?

事業内容によって違う優先順位

どの保険を優先すべきか、という質問に際しては残念ながら「事業の種類による」と言わざるを得ません。一般的に、物件を所有した時点で火災保険を検討される方が多いので、普及率は火災保険が圧倒的に高いと思います。しかし、たとえば、事務所を借りてWEB通販をやっているとしましょう。商品の配送などはメーカーが直接行い、在庫は持たない商売をやっているとしましょう。大事なのはデータです。この場合、火災がおこっても実はほとんど痛手がありません。

一方で、小さな規模で大きな売り上げや、広範な地域への販売などがある可能性があります。そうした時のPL保険や、思わず販売した商品が海外に送られた場合の海外PL保険の検討、サイバーセキュリティの保険などが優先順位が高いと言えるでしょう。

想定される損害額と頻度で検討

上記の例とは違ったパターンで、工場などを持っている場合は所有する設備への火災保険、そして火災などで工場が休業した場合の休業保険(利益保険)などは検討すべき対象となるかもしれません。

逆に、整骨院やレストランであったりすれば、一度火災で内装が焦げたり、匂いや、水浸しですぐには営業は再開できません。特に整骨院などでは火災保険よりむしろ、休業保険のほうが重要でしょう。なぜなら、被害額が物の価値より大きくなる可能性があるからです。

こういったことから、自分たちの業種においては「何が起こると困るか」「何が使えなくなると大きな費用負担(もしくは売り上げ減少)が起こるか」というものを想定しておくのがいいでしょう。保険屋さんとはそういったご自身の思いをぶつける中で、やり取りをしていくと失敗が少なくなります。

Steve BuissinneによるPixabayからの画像

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