顧客は誰かを決めるということ
顧客が変われば重視される価値は変わる
昭和の起業家はどちらかと言えば、「いい商品ができたから、これを広く販売したい」という思いでビジネスをスタートさせたのではないでしょうか。汎用性の高いものをたくさんの人に売り、手に取っていただくということが多くの企業の目標ではないかと思います。
かつてはそんなざっくりした戦略もうまくいくことがあったのですが、近年ビジネスはだんだんと難しくなってきているように思います。うろ覚えの事例で恐縮ですが、ある「ボルト」製造業者があったそうです。これを一般の「部品」として売れば、値段はけっこう買いたたかれるようです。しかし、ある業者はこれに特殊なメッキを施し、とてもカラフルなボルトを創り出したそうです。そしてそのボルトの販売先は、高級輸入車メーカーだったそうです。高級車になると見えないエンジン部分などにも、そのデザインに気を使っています。そういったメーカーにとって、カラフルにデザインできるボルトの存在は稀有な存在で、いくら高くてもぜひ使いたい、という話になったそうです。
この事からわかるのは、顧客を変えるとその商品に求められるクオリティも、値段も変わるということです。私たちは、たとえば餃子の王将で、優雅なウェイターを求める人はいないでしょう。
顧客は一人ではない
またドラッカーは言います。顧客は、最終顧客だけではない、と。たとえば、BtoCの商品であれば、店先に並べてもらう必要があるわけで、そうなるとそのお店も顧客と捉えるのが良いということです。
たしかに、いい場所に出してもらえる、いい形で紹介してもらえることは売り上げを大きく左右します。そういう意味では、お店などの中間にかかわる人たちが、扱いたいと思えることが大事と言えます。
顧客はどこにいるのか?
顧客を決めなければ見えないもの
業種によっては、「私の顧客は、老若男女・法人個人問いません」というケースもあるでしょう。私ども、保険代理店はまさにそんな状態です。しかし、このターゲットを決めなければ、中小企業としてはリソースの配分が限定的になってしまいます。また、どんな価値を提供するか、顧客はどこにいるか、という会社の基本的な方向性を決めることが難しくなってきます。
大企業ならあれもこれも、と欲張ることは可能でしょうが、中小企業でそれをすると結局どっちつかずになります。お客さんからすれば「だったら大手のほうが安心」ということになりがちです。
だからいろんないみで、顧客が誰か?という問いはとても大事なようです。もっというなら、自分達が他の誰よりも価値を提供できる顧客は誰か?ということを考えてみるとわかりやすいかもしれません。
顧客は誰か。
そしてその顧客はどこにいるのか。
これを明確にすることで、会社がブレのない方向性を示すことが可能になるのではないでしょうか。
