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ドラッカーが定義するマーケティング
マーケティングは販売ではない
かのドラッカーはこんな言葉を残しています。
実のところ、販売とマーケティングは逆である。(中略)だがマーケティングの理想は、販売を不要にすることである。マーケティングが目指すものは、顧客を理解し、製品とサービスを顧客に合わせ、おのずから売れるようにすることである。
【エッセンシャル版】マネジメント 基本と原則 (P.F.ドラッカー)p17
一般的な理解でいうと、マーケティングというのは例えば市場調査と解されていたり、あるいは商品を売るための様々な施策であると解されていたりするように思います。しかし、この一文を見るとどうやらそれはマーケティングそのものというわけではなさそうです。
言ってみれば、顧客が買いたくなる商品を企画・製造し、買いたくなる仕組みを作り、喜んでお金を払ってくれる状況を作ること全般と言えそうです。
「商品」ありきの問題
ここで一つ引っかかるのが、私たちがもっている商品・製品です。長年、〇〇一筋という形である特定の商品・サービスを提供していた人にとっては、すでに自慢の商品・サービスがあるだけに、これをいかにして販売するかを考えがちです。
日本全体が大きく経済が伸びていた時代ではそれでもよかったのでしょうが、残念ながら今の状況ですとそれでうまくいくとは思えません。となると、商品・サービスの中身であったり、ラインナップに調整が必要になってきます。
その時に大事なのが、顧客の眼で見る、ということなのでしょう。実は、近年のマーケティングの良書の多くは、顧客の眼ということを非常に重視しています。
手っ取り早いのは「困りごと」の調査
顧客は何かに困っている
たとえば、自動車を運転していて、後ろが見えにくいという問題がありました。その問題を解決してくれたのがバックモニターです。また、今どきの煽り運転への対応として、ドライブレコーダーが一気に普及しています。これもまた、困りごとというか顕在化した不安に対して対処しただけだと思います。
私はその手の知己には疎いのですが、特段の技術革新があったわけでもなく、既存の技術で生まれた商品だと思います。
たまたまある書籍で目にしたのですが、町の個人経営の布団屋さんが「快適な眠りの専門店」というポジショニングを創り出したという例もあるようです。もはやだれも個人店で寝具を買わなくなりましたが、快適な眠りの相談ということであれば一定の需要がありそうです。その際にかえたのは、布団だけでなくベッドのマットを扱い始めたことくらいだったようです。
想定顧客の困りごと・関心ごとは何?
社内の会議において、いちど顧客の困りごと・関心ごとは何かという問いを行ってみることをお勧めします。そういったことから、次の会社の一歩が見えてくるかもしれません。
