店員の「圧」を押さえる

店員監視のもとでは商品を吟味できない

店員とお客様の距離感

ある小さなお店が入り口に店員さんをたたせていました。そのお店の入り口は比較的小さく、お客様はその客引きの店員をよけるようにお店に入っていく。この様子を、何の利害関係もない人が見るとよくわかると思います。これじゃあ、お客様はお店に入りにくいよね、と。しかし、当の本人はそのことを理解していないのです。むしろ、そこで「お安いですよー」なんて声をかけているのになぜお客様が店に入らないかが理解できないでいたようです。

試しに、あの店員さんをお店のなかへ。その代わりに少し目立つA型看板を。そんなアドバイスを試したところ、俄然人の入りがよくなったようです。

このお店で買う気マンマンで来ているお客様なら、店頭に人が立っていれば手っ取り早く用事を済ませようと彼に声をかけるかもしれません。しかし狭い入口に狭い店内のこのお店に、「なにか面白いものはないかな」と興味本位で入るお客様は皆無でしょう。何も買わずにお店を出るというのはけっこう勇気のいるものなのです。

人がいないモデルハウス

たまたま見かけた記事では、住宅メーカーが「社員がいないモデルハウス」を作って非常に多くの人を集めているようです。私自身そうだったのですが、家を買いたいな、と思った時、モデルハウスに行くのもいいのですが、そこで営業担当の人に呼び止められるのは苦痛です。だから、できるだけ目を合わせたくない。そんな折、誰もいないモデルハウスがあるとすれば、それは非常にありがたい。ゆっくり見ながら検討できるし、そういった「おもてなさないおもてなし」というのが、会社の姿勢として好感を持てるのではないかと思います。

じっくり、邪魔が入らない状況で、商品なりサービスを吟味していただく。そういった価値提供はこれからますます重要になるような気がします。

それでも聞きたいときは聞きたい

ある優秀なショップ店員の話

ショップ店員の方に言わせると、たしかにお客様が自由に見て回る時間を邪魔することは望ましくないという一方で、何かを聞きたいときに店員がいないのはかなり大きなマイナス点だと言います。お客様がおこりだすというのはたいてい、「自分がないがしろにされた」という思いが根っこにあります。自分が尊重されないとき、怒りが爆発するのです。

お店にいて、商品を見ている自分がいる。そして、気になって周囲を見回す。その時に店員が見当たらなければ、イラっとするのがお客様。優秀な店員さんは、お客様に圧を与えない場所でお客様をそれとなく観察し、何か聞きたいことがあると察するとすかさず近寄ります。この絶妙のタイミングが大事なのでしょう。

FAQ

もちろんこう言ったことを、店内のオペレーションで解決していくことは普通の考え方ですし、やっていきたいことだと思います。一方で、お客様が浮かべる疑問を事前に解決する仕組みがあれば、という気もするのですがいかがでしょうか。たとえばWEBにおけるサービスやECサイトではたいてい、「よくある質問」に関するQ&Aがある事が多いと思います。店内においても、よくお客様から頂くお問い合わせなどがありはしないでしょうか。もしそうだとしたら、それを聞かずともわかる工夫をしてみるのも一考かもしれません。

リアルなビジネスであっても、たとえばネットの世界や、違う業種から得られるヒントは無数です。そういったことにアンテナを張っておきたいところです。意外なところにヒントはあるものです。

Michael DrummondによるPixabayからの画像

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