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「僕らは待つ商売だから」は本当か?
ある商店主との会話
たまたまお仕事でお付き合いのある小売店にお伺いした時、店主の方はこんなことをおっしゃいました。「まあ、僕らは待つ商売だからねぇ。出来る事ってたいしたことがないんだよ」お店を構えてお客様を待つという商売、たしかにそこにお客様が足を運んでくださらなければ売り上げは上がらないのかもしれません。
そんな話をしているときに、自分がお客様を訪問している立場であることを思い出しました。私たちは保険代理店ですが、お客様のところを訪問する機会も少なからずあります。たとえば文具店がいちいち、お客さんのいそうなところに商品をもって訪問販売できるか?といえばそれはビジネスとして成り立ちにくそうですが、なにか私たちの仕事で当たり前にやっている事で、お客様にお役に立てることはないかを考えてみました。
買う可能性のあるお客様を訪問
私たちが営む保険代理店、特に損害保険を販売する代理店はお客様への訪問の多くは「買う確率の高いお客様」ということになります。それはどういうことかというと、自動車保険で言えば、昨年も契約していただいて、今年も契約していただけるであろうお客様です。
この今年の契約が締結されるまでに、「もうすぐ今の保険が切れますよ」という案内を送り、「電話で意思確認」をし、「訪問で手続き」する、というスタイルです。今や訪問も省略されることが多いので、大事なのはこの二つです。
・購入するタイミングを知っている
・お客様の連絡先を知っている
この二つが明確だから、お客様に次の購入を促すことができますし、連絡を取ることができます。だからあまり多くの努力を要することなく、対前年比8割~9割の売上は確保できることがある程度読めます。
顧客名簿は宝の山
いつも買う魚屋さんで
私の家族は3人です。例えば週末、手巻き寿司をしようとなったとします。イオンにいけば、手ごろな手巻きずし用の魚のパックは売っています。しかし、値段があまり変わらず新鮮さの違う個人の商店でお願いすることが多いのです。ここで電話でお願いし、夕方にとりに行く。つまり、我が家ではその魚屋さんに、名前と電話番号という個人情報を渡しています。
その魚屋さんは繁盛しているのであまりそういったことには頓着していないのかもしれませんが、この名前と連絡先を取っておいたら何が起こるでしょう。たとえば、「今日はちょっと仕入れが多かったので残ってる魚があるけど、安くするからどう?」という連絡、できないわけではありません。
せっかくなので住所も聞いておけば、「明日は、手巻き寿司フェア」なんて言って注文を促進するはがきを送ったりできますし、システムを少し触れる人ならLINE公式アカウントや、メルマガなどでお得情報を発信することも可能です。
「今日はめったに手に入らない上物のマグロが入ったので、良かったらお店に寄ってみませんか?」
そんな案内が来れば、「じゃあちょっと寄ってみるか」というお客様は多いはずです。
浮動票ではなく固定票を狙おう
商売の中でマーケティングという考え方があります。そういった小難しい戦略の世界では「ライフ・タイム・バリュー」が大事だと言います。お客さんが自分たちの商品を買うために、生涯どれだけのお金を使ってくれるか?ということが大事です、と言っているのです。
きっと商店をされている場合、いつも通ってくれるお得意さんの顔はいくつも浮かぶんじゃないかと思います。そういったお得意さんが、もっと足しげく通ってくれるにはどうすればいいかを考えるほうが、今までお店に来てくれなかった人を振り向かせるより簡単ですよ、というのが一般的な考え方です。
それは私たちの件の業界では顕著で、日頃心やすいお客様は電話も出てくれるし、訪問すればお茶も出していただけます。しかし、取引のないところに「保険のお話を・・・」なんて言ったら、1000件中まともに話を聴いてくれるのは数件です。そんなお客様を探すより、今すでに電話も出てくれて、話も聞いてくれるお客様を大事にしよう、というのが基本的な考え方です。
私たちの業界に限ったことではなく、きっと皆さんの業界でも同じことが言えるのではないでしょうか。
お客様とつながる工夫を
「めったにはいらないこの商品、もしかしたらあのお客様に紹介したら喜んでくれるかも」そんなシーンってまったくないでしょうか?たぶん、ゼロというわけでもないんじゃないでしょうか。商売人は、名も知らぬ通りすがりの人を集客し続けるビジネスから、ごひいきさんとつながるビジネスへ一歩関係を深めるのが、焦点の正常進化ではないかと思います。お客様だって、名前で呼ばれたらうれしいものです。
一元さんから常連さんへ。そういったことを双方が認識できる関係作りを始めてみてはいかがでしょうか。
