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保険業界は騒然?
ビジネスモデルから考えるコンビニによる保険販売
私ども保険代理店の知人界隈では、このニュースに少なからず反応がありました。
セブンがコンビニ初の生命保険販売へ 非対面契約、全国2万店で取り扱い
記事の内容は、コンビニが生命保険販売を始めるということなのです。生命保険の世界では、原則が「対面募集」。つまり、人が介在する形で申し込み手続きをするのが原則となっています。その理由は例えば、本人確認が必要だとか、怪しい契約ではないか等を人の眼で見て判断したり、身代わりの人が契約できないようにといったことが挙げられます。
保険業界の人たちからすると、「今までは人が介在していたものが、人が介在しないスキームが大々的にスタートした」ということでライバル出現と考えたのでしょう。みな、不安を隠しきれない様子です。
しかし、ちょっと不思議な部分が記事の中にはあります。何かといえば、第一回目の保険料(掛金)を店頭の端末を操作して、お店で払うべし、というスキームのようなのです。普通であれば、クレジットカードで払う仕様でもまったく問題ないはずなのに、なぜか店頭にわざわざ行かなければならない。なぜかと考えると、どうやらセブンイレブンは、そういった方法でお客さんの来店を促したいのではないかと思うのです。
リアルVSバーチャルという構図で考えるなら
今、小売店のなかでは、リアルVSバーチャルという構図で考えられることが多いと思います。通販が手軽になった今、お客様がお店に来ていただくにはどうすればいいのか?というのを強く意識しているのではないでしょうか。
保険業界の人々からすれば、これは人を介せず保険という商品が売られているということで「バーチャル戦略」と捉える方が多いと思いますが、セブンイレブンにしてみれば逆に「バーチャル対策」として打ち出した数々の戦略の一つに過ぎない、ということなのではないでしょうか。
リアルな小売店では、かなり「手間」である、「お店に足を運ぶ」ということにこだわらなければなりません。非対面で保険が契約できてなお、支払いにコンビニに来てもらうという戦略は、リアル店舗戦略そのものと言えるような気がします。
となると、セブンイレブンは保険を販売することで稼ぐというよりも、その利益はほどほどでもいいので、とにかくお店に足を運んでもらうための戦略を打ち出していくことになると思います。
仕組みを考える
来店してほしい小売店は、待っているだけではダメ
ある小売業の方が、こんなことをおっしゃっていました。「俺たちの仕事は待つ仕事だからな」。たしかに、お店を開いて人を待つという意味では正しいのでしょうが、単に待つだけなのでしょうか。
たとえば、当社でもある実験をしたことがあります。A型看板を店の前に出しました。そもそも、お客様はいきなり保険屋さんに相談になんて来ないのはわかっていますし、そこそここういうところに入ることへのハードルが高いのもわかります。そこで、とりあえず看板を出し、コッソリ様子を覗いてみました。
まずは、通行人が看板がある事に気付くか?。気づいていない様子なら、どうすれば気づいてもらえるか?ということでA型看板を飾ったりします。そして、気づいて読む人が少し出てき始めました。しかし、途中までで読むのをやめて立ち去る人が大半でした。じゃあ、出だしの文言は悪くないけど、そのあとの内容に関心がないのかも。さらには店に入るのが億劫なら、電話やメールで問い合わせができるようなチラシを一緒に置いておこうという工夫をしてみました。最終的には、落ち着くところに落ち着きましたが、人がどう行動するかをステップごとにチェックしていくと、問い合わせを生む看板ができました。
看板にとどまらず、たんにたまに織り込みを入れるだけとかではなく、お客様にまず気付いてもらい、関心を持ってもらい、足を運んでもらう工夫はいろいろできるものです。セブンの保険販売は、単に「サービスの幅を広げた」というだけではなく、お店に来てもらう仕掛けを作った、という理解ができると自分たちのビジネスにも応用が出来そうです。
売上は人が作る
こういったことを考えるベースには、「売上は人が作る」もっといえば、人の行動が売り上げにつながるという考え方を持っています。お客様が「行こう」と自然に思っていただくにはどうすればいいのかを一生懸命考える。今まであまりPRに力を入れていなければ、どうすればもっと知って頂けるのか。そんなことを一つ一つ解決していくと、お客様に集まっていただけるお店作りができるのではないでしょうか。
もしお声がけいただければ、私どもも一緒に考えてまいりたいと思いますので、お気軽いご相談ください。
