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たくさんの商品を並べても売れない!?
ほんとうにおすすめなのはどれ?
「情報爆発」。
最近そんな言葉を耳にします。
例えばある商品を買おうと思ったとき、ウェブサイトで検索したとします。まあ、出るわ出るわ。その商品を扱っているお店のサイト、その商品の口コミを紹介するサイト、その商品のプレスリリース。あるいは、YouTubeの動画などでも使用感を伝えていたりもすることがあります。
たとえば、車を買い替えたいなんて時には、そういった情報は一見役に立つのですが、もうだんだんウンザリしてくるわけです。車のような比較的高価なものならいざ知らず、たとえば、1万円程度の健康グッズが欲しい、となった時、もう情報を調べるだけで面倒くさくなってしまいます。
ECでは商品を絞り込む
私がマーケティングを少し勉強していたとき、ネットでの販売において最も目立つ場所に、イチオシの一つの商品を出せ、ということがよく強調されていました。ネットでの販売は、お客様の関心は移ろいやすい。だから、あれもいいですよ、これもいいですよ、といっぱい並べてもなかなか売れないそうです。そこで、たった一つの一押し商品でページを構成することが推奨されていました。
そのうえで、その商品でお客様とつながり、後々、長い期間のお取引を目指して、様々な関係構築をしていく、というのがWEBマーケティングの常とう手段でした。一つの商品でお客様とつながり、そこから関係を深めていく。この「流れ」が非常に重要である、ということを当時学びました。
では、リアルの小売店などでは、商売の仕方は変わるのでしょうか?たしかに、WEBであればお客様は画面への一点集中ですが、リアルなお店の場合、周辺視野にたくさんの景色が認識されているはずです。たとえば、ドン・キホーテなどは商品を密集して展示することで、目的の商品だけではなく、他の商品も視野に入れることで客単価を上げる戦略をとっていると聞いたことがあります。
つまり、リアルのお店の場合は、単に商品を絞り込むだけが良いわけではなさそうです。
顧客の多くは欲しいものがわかっていない
洗剤Aと洗剤Bの違いを知る顧客はさほどいない
消費財を買いに行った際、たくさんの商品がスーパーには並べられています。これをみて、普通は「いつも使っている」ものを使うと思います。しかし、いろんなパッケージのものが並べられていると、なんだか気になるわけです。けどやっぱり失敗したくないから、いつも通りの物を買う。たいてい、買い物ってそんな感じで行われているのではないでしょうか。
これは私だけではないと思うのですが、消費財の多くは満足しているから使っているわけではないと思います。とりあえずこれに落ち着いているけど、もっといいのがあればそれにかえてもいい、と思っていると思います。その際に、何十円安いとか高いとかはあまり関係がないと思うのです。
そこにたとえば、「子どもがアレルギーで困っていたのですが、この洗剤にかえてからはずいぶんよくなりました」というものがあれば、「じゃあ試してみようか」ということになるかもしれません。
一般の方にしてみれば、洗剤の良し悪しなんてよくわからないし、「こんなもの」と思っているのですが、そういったことを中立の立場ですすめてくれる人がいたら、じゃあ、とそれを手にとる人は増えると思うのです。
人がそこで立っている必要はない
大手スーパーでは休日になると、メーカーから派遣された人員が自社商品を進めにやってきます。しかし、中小の小売にはそんな協力もなければ、スペースもありません。けど、大丈夫。その役割をPOPに託せばよいのです。かかるコストと手間はわずかです。小さなスーパーがPOPの工夫だけである商品を全国2位(一位は大手スーパーチェーン)というレベルで売ったというのですから面白いこともあるものです。
ところで、私達は、買い物をする際、大抵は欲しいものが何かはわかっていません。何しろ購入者はその商品の専門家ではないのですから。それを専門家の立場から、その選択基準を示してあげるというのはお店側としての新設かもしれません。サンマAとサンマBでなぜ値段が違うのか。これを私たちは知らないのですが、魚屋さんはよくご存じです。産地がどこかだから、美味しいとか、ここに身がついているから美味しいのがAで、やせているBは少し物足りないとか。
そういったことを大手のスーパーは教えてくれませんし、通販でお教えてくれません。それができるのが、小売りの現場に携わるみなさんではないかと思いますし、それは十分差別化要因として機能すると思うのです。お客様が欲しいものを探す手伝いをする。これが小売業の一つの役割ではないでしょうか。
