【飲食業の方へ】コロナの後に向けて考えたいこと

今回のコロナ騒動において、目だって大きな影響を受けた業種の一つが、飲食業だと思います。そんな中、テイクアウトなど様々な工夫をされて、頑張っている方々は多いと思います。そういった飲食業の方々のサービスを実際に使ったユーザーの一人として、感じたことをまとめてみたいと思います。

飲食業のテイクアウト

お客様はわざわざ聞かない

街を歩いていると、多くの飲食店がテイクアウトを始めています。私もせっかくなので利用したいと思うのですが、割と購入しにくい店が多いことに気づきます。いつも常連のお店ならいざ知らず、お店の前にのぼりだけ出して「テイクアウトできます」といわれても、ちょっとためらってしまいます。店内は閑散として、電気もついていなかったりもします。そういったお店のドアを開け、「持ち帰りできますか?」なんて聞くのは結構勇気のいることです。

また、どんなメニューが持ち帰りができて、どんなメニューが持ち帰りができないとか、一見してわからないのでついつい足が向かないのです。

逆に買いやすかったお店は、店先にテーブルを並べ2つのお弁当サンプルがおいてあり、その場に店員さんがいたお店。何が買えるかチラ見できるのがよかったと思います。そして弁当を買って包みを開けたときにメニューが入っていて、それを見ながら、次はこれを買ってみようか、と自宅でゆっくり家族と相談できるのがよかったと思いました。

考えてみれば、普通は座席についてメニューを見ながら悩むものです。それを店先で悩んでいるというのも何となく落ち着かない。だから、ついついあきらめてしまうのです。

これをコツとしてまとめるとすると、
①道行く人がのぼりや看板、サンプルだけで分かりやすい形で絞り込んだメニュー(2つ~多くても4つくらい)を知ることができる状況を作る。
②今この場で販売していることがわかるように店員さんがその場にいる。(ただし、売り込みは受けたくない)
③たくさんの持ち帰りメニューがあるならば、まずは弁当を買った人にお伝えできるようにメニューのチラシなどを準備する
といった感じになるでしょうか。

飲食店とテイクアウトではリスクが違う

コロナの影響で売り上げがダウンし、急遽、テイクアウトを始められた飲食店も多いかと思います。しかし、気を付けたいのは、店内でご飲食いただく時とは違い、食品の管理状況をコントロールできないリスクがあります。5月に入り気温もぐんぐん上昇している中、食品の品質について危惧する必要があります。

そもそもお持ち帰りのお惣菜は、一般の飲食で提供する場合と違った注意点が必要となります。それを実際に長年飲食とテイクアウトのお店をされている中村珠美さんがSNS上で公開されていたので、ここに引用させていただきます。

【テイクアウト事業を始めた事業者の皆様へ】外出自粛要請をうけて、この数か月の間に初めてテイクアウト事業を始める企業が増加してまいりましたので、テイクアウト事業を7年半以上継続してきた経験から、トラブル防止のための施策を下記に記したいと思い...

中村 朱美さんの投稿 2020年4月2日木曜日

とにかく緊急性を重視してテイクアウトを始められた方が多いと思いますが、こういったことへの対応が大事かと思います。

Mylene2401によるPixabayからの画像

中長期的な見通しを考えてみる

緊急避難的状況を脱したら…

取り急ぎのテイクアウト事業、各種の支援策などを取り付け、あとは固定費の大きな要素を占める家賃の交渉を行ったり、ということも必要になるでしょう。(家賃交渉の代行サービスを知っていますので、気になる方はお問い合わせください)

これでとにかく、低空飛行とはいえ、何とか存続の糸口が見えてきたとすれば、次の一手を考えたいところではないかと思います。おそらく、当面の間はテイクアウトも重宝がられると思いますが、それは永遠に続きません。なぜなら飲食店の商品は料理だけではないからです。

たとえば、こういったお店の危機に際して、わざわざ「少しでも売り上げに協力しようと思って」というお客様が起こしになったお店は結構あるかもしれません。そういったお店は、いわゆる常連客のあるお店ではないかと思います。それはありていな言い方ですが、お客様とのつながりがあるお店なのではないかと思います。

おいしいお店を失いたくないという思いより、お店を好きなお客様が一定数いる、ということがとても重要なのだと思います。それは決して感情論ではなくって、そこに商いの本質があるように思うのです。多くのお客様は、お店に人間性みたいなものを感じているのではないかと思うのです。逆に、システマチックで洗練されたオペレーションのファーストフード店や、ファミリーレストランチェーンに強い思い入れを持つ人はあまりいないと思います。お客様はそのお店の「顔」を認識したとき、そのお店を好きとか嫌いとかいう判断をし始めるように思うのです。

他のお店と区別できるか?

そのお店の「顔」というのはどんなものでしょうか。これはたぶん、目隠ししてお店の席に座らされた時に、そのお店のことがわかる、ということだと思います。ある場合は、なじみの店員さんの顔を見て感じるかもしれません。別の場合は、店内の雰囲気かもしれません。メニューのラインナップだったり、ちょっとした小物や食器へのこだわりかもしれません。

例えば、中華料理店というジャンルがあるならば、別の中華料理店とは違う何かがあることが大事だと思います。それは先述の通り、店員さんやオーナーの個性でもいいのだと思います。「あそこにある中華のお店」から、「〇〇飯店」という固有名詞でのお付き合いができる関係性を作ることが大事ではないかと思います。

テイクアウトは試食

実は、今のテイクアウトへのシフトはあまり長くは続かないと思っています。やはり飽きてしまうんです。高級総菜として、デパ地下は常に人がごった返しですが、デパ地下は一つの場所においしいものを集めているからそれが成り立つのだと私は考えています。

そして外食というのは、味だけでなく、場所や雰囲気、そこで集う人たちがいて初めて成立するもの。また、レジャーの一環であることも多く、いつも家庭の食卓で家族だけで食べる食事とは違った状況であることが一つの売りだと思います。

となると、テイクアウトは現時点では売り上げを支える一つのビジネスかもしれませんが、今後のことを考えると、「店が再オープンした際の試食」という考え方をとるのもありじゃないかと思います。

今までお店に来なかったお客さんが、そのお店の雰囲気を手軽に味わえる「お試し」です。敷居が高そうでは入れなかったお店や、ちょっと行ったことのないタイプのお店も、テイクアウトという試食で新たなお客様とつながる工夫をしてみてはよいのではないか、と思います。

JamieDepledge1によるPixabayからの画像

圧倒的な強みを持つ一品

テイクアウトが試食だとすると、それなりにインパクトのあるものをお出ししたいところ。
そういった個性を表現するのに、たまたまこんな事例を見かけました。

サバだけで勝負!「鯖や」は何がスゴイのか(東洋経済ONLINE)

奥様と始めた居酒屋のメニューの中で、鯖寿司が一番おいしい。
だからそれだけに集中すればいい。
そんな発想で鯖の専門業者にチャレンジ。今ではシンガポールにまでお店を持つようになっているんだそうです。

この事例は完全に「鯖専門」になってしまいました。経営戦略的に言うと、特化戦略とか、ニッチ戦略とか言いますが、常套手段でありながらほとんどの企業が思いきれない超「専門化」戦略です。ここまで尖がれると強いのでしょうが、そこまでいかなくとも、お客様を誘引する特徴ある一皿に全身全霊を込めれば、今までと違った売りができるかもしれません。

あるケースでは、日本酒が売りの居酒屋が営業ができなくなって、酒粕で作ったラーメンがバカ受けで人気を博している、なんていうニュースもありました。

今はまだまだ予断の許さない状況だとしても…

とはいえ、多くの飲食店が今も存続の危機にあることは、想像に難くありません。ですからまずは、今の窮地を脱するところが先決なのは十分承知しています。ただその中で、今必死にやっていることが未来につながるような形の伏線になる工夫をほんのちょっと意識するだけで、その後の営業が変わってくることもあるのではないかと思います。今はそんなことは考えられないのかもしれません。しかし、もしほんの少しでも状況を俯瞰する余裕ができたときに、今やっていることの延長線上にどんな未来を描くか、ということを考えるお時間をとっていただくことができれば幸いです。

Peter HによるPixabayからの画像

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