増える営業電話
小手先の方法は会社の評判を悪くする?
実は、当社においては、営業での訪問を無条件にお断りする会社がいくつかあります。営業を仕掛けるほうは「何とかして自分たちのことを知ってほしい」という思いがあるわけですが、私のなかでは悪印象として彼らの社名を覚えています。その業種は、事務機屋さんとネット・電話回線屋さんです。
実際に営業の電話を受けているとわかるのですが、この二つの営業が圧倒的に多い。また、最近比較的多いのは電気の切り替えでしょうか。
いずれも、幅広いターゲット(とりあえず法人として事務所を開設していたら入れているであろう商品やサービス)を想定できるので、電話や飛び込み営業が多いのかもしれません。
その電話は非常に巧妙で、あたかもNTTを連想させるような電話の仕方をしたり、ほとんど詐欺まがいのセールストークを展開したりする業者が多いように思います。それ以外でも、安くなる、という語り以外にほとんどお目にかかったことがありません。
過当競争はモラルの低下を招く
ビジネス用語に、ブルーオーシャン、レッドオーシャンという言葉があります。前者はライバルのいない、独自市場を指し、後者はライバルひしめく競争の激しい市場を言います。前述した業種はほぼ間違いなくレッドオーシャンに位置します。するとどうしても価格比較に陥りがち。業者さんは安い「バーゲン商品」を用意し、そこからアップセルやクロスセルを狙う戦略が多いのでしょう。複合機の値段の下がり方は眼を見張るものがあります。
しかしそれも限界があります。そうした時に、時としてズルをする輩が出てくるわけです。私はこういったずるをする業者とは取引をしたいとは思いません。先だっても、なんだかこちらに考える隙を与えず、どんどん話を進めて、契約を指せようとするセールスに出会いました。私はかなり腹が立ったので、彼を追い返し、出入り禁止リストに追加しました。
他社と違うことを
程度と独自性
たとえば、月々10,000円払っているものを、月々8,000円に下げます、というのは程度問題です。この程度問題で競うのは、ある程度成熟した市場では難しいと言われています。もはや、値下げ提案の連続で、まったくの新鮮味がないのです。
一方で、独自性を加える、ということを意識すると少し雰囲気が変わってきます。たとえば、複合機の販売をするとしたら、●●な使い方をされる◇◇業の方のためにこんな特殊な機能をつけたとか、こんな特殊な料金体系を用意したとか、そんな感じでしょうか。
その違いはほんのちょっとでいいと思うのですが、対象顧客に対するカスタマイズがなされていると感じさせるだけでもずいぶん違うのではないでしょうか。そうすると、おのずとセールストークも変わってくると思います。
◇◇業の方に関して言えば、従来の複合機は●●な使い方をするため、機器も料金体系もあっておらず無駄があるとお感じではないでしょうか?なんて切り込みをされると、日頃そんな非合理を感じている人だったら、ちょっと話くらいはきいてみようか、と思われるかもしれません。
バカチョンではうまくいきにくい?
今までは、一つの商品を、どのカテゴリーの顧客にも同じ資料、同じセールストークで販売しようという傾向が強かったように思います。使い方は顧客がイメージするに任せていたのかもしれません。しかし、これほどまでに競争の激しい時代は逆に、こういう人ならこの商品をこう使えば、生活やビジネスがもっと良くなる、という提案が必要になってきていると思います。
だから、どこでも誰でも同じセールストークを使いまわせばいい、というわけにもいかなくなっているように思います。一説によると、企業の購買担当はセールスパースンに合う前に、57%の調査を終えていると言います。すると、商品アピールをしたところで売れるはずもありません。だから私たちは、よりきめ細かい顧客の理解が必要な時代に入っているのかもしれません。
たとえば業種別や、規模別、プロフィール別に顧客をセグメントし、彼らの困りごとをリサーチしてみると、喜ばれるセールス電話をすることができるかもしれません。
