売ることが目的ではなく、セールスストーリーを作ることが目的にしてみる。

チームによる検証を重ねる

一発屋や勘が横行する仕事

営業といえば、非常にブラックボックスの多い職種です。それはたとえば、営業社員単位で業績を競わせると、周囲はみな敵になります。社外秘はおろか、うまく言った方法は人には話さなくなるでしょう。また、営業という仕事に、科学的なメスが入ることが少ないので、再現性のある方法はなかなか表に出ません。結果として、営業社員の育成は、本人任せという事になってしまいます。つまり、営業社員は、育つかもしれないし、育たないかもしれない。そんなある意味あてずっぽうな状況で、「たまたま力をつける人」と、「なかなかうまくいかない人」が出てくるのが現状ではないでしょうか。

では、この上手くいっている人が、自分がうまくいっている理由を言語化できるかというと、それもできないことが多い。何しろ、これまで何百年単位で営業の役割をこなす仕事はあるものの、そのコツを分かりやすく、誰にでも再現できる形で広めた人はほとんどいないのですから。

結局、たまたまキッカケを得て上手くなるとか、勘だのみの営業だったりとか、ビジネスとしてはこれほど不確定な要素の多い仕事もないのが営業ですね。

チームとしての成長を考える

先日ある電話営業を受けました。不覚にもどんな内容だったか思い出せないのですが、そもそも電話による新規営業を受けるだけでいつもはイラつく私が、なぜか話が弾み、アポイントを受容してしまった事例がありました。かすかな記憶をたどってみると、上手な質問で私が気持ちよく話していたような気がします。その結果、会いたいと言われて断り切れず、アポイントを了承しました。

来られた営業の方も押し付けがましい感じもなく、和やかに気持ちよく会話が進みます。彼らのプレゼンも非常によくできていて、単に「ウチはこんなにいい会社で、こんな素晴らしいサービスやってますよ」って感じじゃないんです。こんなお悩みありませんか?という感じで始まって、こんな風に解決できたらいいと思いませんか?と言われて、うんうんと言ってたら、ドン、とクロージング。

結局お断りはしたのですが、わりと正直に買わない理由を話していたような気がします。

これたぶん、相当トレーニングしてますし、なにより、相手を上手く引き込む話の流れを作りこんでいると思いました。そして聞いてみると、やはりそういうみーてぉんぐを毎日やっているそうです。

話の流れのどこで相手が拒絶を示したとか、どこで急に身を引いたとか、そういった観察をしていて、社内で報告会があるそうです。彼らにとって、「売上を上げる」ことがミッションではなく、「高確率で顧客とコミュニケーションができるセールスストーリー」を作り上げることがミッションになっているようです。

そうすると、数字のプレッシャーにつぶされることなく、健全なセールススタイルが作り上げられていくのかもしれません。

根気がいるけど中長期的に強い

苦しまずに育つ?

営業と言えば、だれしも苦しい思いの一つや二つはしていると思います。成績が足りず走り回ったり、お客さんにボロカスにいわれて、たじたじになったり。ひどい時には人と会うのが怖くなってしまうこともあります。それでも、「成約」が目的ではなく、「セールスストーリーを作る」という目的であれば、「契約できなかった」ことは失敗ではありません。

むしろ、できなかったという過程を検証し、経験を積み上げたことが非常に評価されるべき状況と言えるかもしれません。今までは根性論で育ててきた営業社員を、これからは貢献している実感で育てていく。そんな考え方も必要なのかもしれません。

しかもこういった一つの会社としての突破方法を持つことができれば、それは将来にわたる強みでもあります。

実は私はそういったスタイルを目指してきましたが、残念ながらきめ細やかさが足りずうまくいきませんでした。もし、どなたかが成功例を出してくだされば、ぜひ勉強に伺わせてください。

Ulrike LeoneによるPixabayからの画像

人気記事

レンタルスペース

レンタルスペース

会社案内

会社案内

メルマガ登録

メルマガ・旬の経営情報
ページの先頭へ戻る