顧客の困りごとを知っているか?

ある複合機販売業者のおはなし

競争するか、違う視点をもつか

皆さんの会社にも、コピー機・複合機の営業電話が頻繁にかかってくるのではないかと思います。彼らは何を主張するかと言えば、まずは安さ。そして次に機能。これはどの会社も同じだと思います。ある企業が、学校などにカラー複合機を売り込んだ際も、そんな状況が見て取れたと言います。各社安さを売りにするけど、決め手がなく、学校側も導入を躊躇していました。「別に今までのモノクロ複合機で十分だし」というのが、その学校の空気だったようです。

そこで、その競争から抜けようと、ある企業が実施したのは「提案の次元を変える」という事でした。そして、徹底的に顧客である学校の「困りごと」をリサーチしたそうです。

生徒の集中力で学級崩壊!?

するとその学校では、生徒の集中力が低く、学級崩壊が起こっており、それが学校全体の悩みであることがわかりました。教師側がいろんな努力や工夫をしてもなかなかその状況が変わらず苦心していたようです。そこで、複合機販売会社は様々な文献をあたってみました。するとこんな論文を見つけたのです。

カラフルな資料を使うと、モノクロの場合より集中力が高まる、というのです。こういった学術データをもって学校に提案に行ったところ、ほぼ即決。合い見積もりもなければ、部門間の譲り合いもなく、満場一致で契約が決まったと言います。

なにがおこったのか?

同じ商品の価値が変わる

商品を変えずとも、物の見方を変えるだけで同じ商品の価値が一変する。今回のケースはまさにそんな状態なのでしょう。大きな違いと言えば、今までは「きっと安いほうがいいに違いない」「高機能のほうが勝ってもらいやすい」という自分たちの思い込みで販売をしていました。しかし、顧客の関心ごととは違う部分だったので、購入には至らなかったのかもしれません。

今回のケースで言えば、同じカラー複合機が、「ただの複合機の発展版」から、「生徒の集中力を取り戻す工夫」に変化したのです。

こういったセールスの考え方、私達の業界でも使うことができないでしょうか?

顧客を知ることの大切さ

一時期「データベースマーケティング」という言葉が流行ったことがありました。お客様を属性別に切り、属性ごとに適した提案をしよう、というものでした。この手法の問題は、お客様をあくまでデータとして扱うこと。これは、定量的な情報が重視されるわけですが、定性的な要素は加味しづらくなります。

それももちろん一つの手法ですし、たくさんの顧客へのアクセスは、そういった定量的な分析が大事でしょう。しかし一方で、リアルなお客様は何に困っているのか、という定性的情報もまた、セールスには非常に大事になってきます。今困っていることを解決する商品こそが売りやすい商品です。逆に言えば、あなたの商品を今お客様が困っていることに当てはめて考えると、今まで以上に価値が認識されやすくなる可能性は高いと考えられます。

そのためにはやはりお客様との対話は欠かせません。天気の話もいいですが、お客様の本質的な悩みを引き出す対話をしたいものですね。

Klaus Aires AlvesによるPixabayからの画像

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