目次
顧客満足度調査の欠点
満足しても次はない!?
かつて、ビジネスにおいては、CS(Customer Satisfaction)つまり、顧客満足度がとても重要視されていました。確かに感覚的に、自分たちが提供するサービスや商品がお客様に満足いただけているかどうかは、かなり大事なことでしょう。しかし一方で、こんな調査があります。顧客満足度はリピート購買や単価アップにつながるかと言えば、その相関関係は見いだせないと言います。考えてみれば、満足しているという事はそれ以上を望まないという事ですから、単価アップはまずないでしょう。さらに、次も買うかどうかは、実は顧客満足度よりむしろ「購買の際の手軽さ」がとても重要だという調査もあります。
満足していない床屋に通う心理
ひとつ例を挙げて考えてみましょう。私はもう何年も同じ床屋に通っています。それは満足度が高いから、というわけではありません。むしろ不満のほうが多いのです。マスターとの会話はあまり関心がありませんし、切り方についてもいつも満足しているわけではありません。値段だって決して安いとは言えない価格です。ではなぜそこに通い続けるかと言えば、他を探すのも面倒だし、近いし、勝手がわかっているからです。たぶん、より条件のいいところを何かのきっかけで(例えば友人の紹介や、何かの会合で別の店のマスターと出会うなど)ほかに行く機会ができれば、迷わずそちらに行くんじゃないかと思います。流暢性とでもいうのでしょうか。とにかく、行きやすいから行っているだけなのです。
顧客が次もリピートしてくれる指標
NPS(ネット・プロモーター・スコア)とは?
ここで、まず考えたいのが「顧客体験」というものです。顧客がその商品を買い、利用するまでの過程でどんな経験をするのかをイメージすればわかりやすいかもしれません。たとえば、Amazonで本を買う場合なら、私はスマホにアプリを入れていますので、スマホを出し、アプリを使って検索し(この使い勝手も顧客体験の一部)、注文する。すでにクレジットカード情報は入っているので、実質的にはワンクリックでOKです。そして翌日にはポストに配達されています。私がやったのは、アプリを立ち上げ、本を選び、ボタンを一つクリックしただけ。パスワードを入れるとか、クレジットカード情報を入れるとか、そんな面倒は一切ない。だから私は次もAmazonで本を買うでしょう。
こういった顧客体験を、顧客に評価してもらい、その評価が売り上げと相関関係が認められる方法として、非常にシンプルなアンケートの取り方があります。それは、「 あなたはこの企業(製品・サービス・ブランド)を友人や同僚に薦める可能性は、どのくらいありますか?」という質問を行い、0~10の11段階で評価をしてもらうというもの。
そのアンケート結果のうち、0~6は批判者でネガティブな口コミを広げる可能性のある層。7~8は中立者、9~10は推奨者として実際に周囲に紹介をしてくれたり、自分自身でもリピート購買をしてくれる可能性がある層と考えられます。そして、推奨者の数から批判者を引いた数が、NPSとなります。
NPSはシンプルかつ売り上げに直結する
このようにかんたんなアンケートで判明するNPS。これは繰り返しになりますが、顧客満足度とは違い、売り上げに直結する、つまり顧客の行動と紐づいているというところが最大の特徴ではないでしょうか。実際のところは、このスコアがわかったとして、こんどは何がスコアを上げたり下げたりしているのか?という要素の追求はかなり難しいものと言えます。とはいえ、ざっくりした指標として把握しておくことはこれからの経営にはとても役に立つものではないかと思います。
精緻にこれを活用していこうとすると、かなり高額のコンサルティング会社のサポートが必要となるのかもしれません。しかし、会社を改善するための「アタリ」をつけるという意味においても、比較的なシンプルな質問で数値化できるNPSはわりととっつきやすいものではないでしょうか。
