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起業に失敗する人の共通点
定年退職を機に起業する人
10年以上前から、大手企業に勤めていたお客様が「退職金を元手に起業したい」と相談にお越しになることがときおりありました。大企業の方なので、たいていはかなり見栄えのいい事業計画を作ってこられます。私などは保険代理店の二代目風情ですから生意気なことは言える立場ではありません。しかし、高確率で失敗することを放置するのは自分の良心がとがめます。こういったご相談に来られる方は、多くの場合同じところで楽天的すぎる計画を立てておられています。それは、集客のむずかしさを理解していないのです。
ある方にそのことをズバリ指摘しました。この業種でこのチラシをこの程度撒いたところで、あなたの会社が軌道に乗るほどの集客は見込めない、と。しかし彼は、そんな私の反対を押し切って、起業し、5年後退職金を使い切って事業をたたみました。かつて大企業がもっていたブランドで仕事をしていたときの感覚と名もなき企業への反応はずいぶん違います。さらに言うなら、それを差し引いても、反応率を高く見込みすぎています。
良い商品だからと言って顧客はすぐに反応しない
「この内容ならきっと問い合わせがバンバン来るぞ」。出来た広告を悦に入ってみながらいう経営者も実際の反応を見て愕然としました。商品もいい、価格も悪くない、広告自体もいい出来だ。なのに、思ったように反応がないのです。これは何が起こっているのでしょうか?考えられることは、この広告を見た方はそれなりに欲しいと思ったかもしれませんが、一発で購入に至る、というわけではないという事だったようです。
私達も経験があるかもしれませんが、ちょっと「いいな」と思う商品を見つけたとします。余程それが欲しければ、即座に問い合わせ先を探し、連絡を取っているかもしれません。しかしほとんどの場合はそこまでしません。「あ、いいな。また機会があれば買いたいな」くらいの感覚だと、すぐには動きません。そして、日々様々なことを考えなければならない現代人は、数時間もすればそんな商品の広告を見たことさえ忘れてしまいます。
それぐらいモノやサービスをきっかけに、顧客との関係をスタートさせるのは難しいことなのかもしれません。
一瞬で商品が売り切れた経験
顧客との関係性はいかに?
たまたまあるメールマガジンで私が書いた本を取り上げていただきました。その業者さんは2003年からメルマガを発行しており、常にそのクオリティは高いし、なにより時代の半歩先行く提案が常に行う会社です。わたしもメルマガはあまり真剣には読みませんが、その会社から送られるものだけはたまに熟読することがあります。
その会社は主にマーケティングに関する教材を提供する会社。私の本はちょっとその主題とはずれています。しかし、その会社が発行する15万人の登録があるメルマガでひとたび紹介された途端、数時間でAmazon,楽天での私の本は売り切れ状態に。その販売力には腰を抜かすほどでした。
これは長きにわたり、メルマガ読者との関係を大切にしていた結果なんだろうな、と思いました。なるほど、この会社のセミナーは、けっこう高額なものでもリリース後数時間で売り切れることもしばしばです。
つまり、商品を出し、メルマガを出せばたいてい売り切れる。逆に言えば、売上げが足りなければ商品を出し、メルマガを出すという企画段階で、かなり精度の高い売り上げ計画が作れるという事になるのではないか、と想像しています。
わたしたちはどのように顧客との絆を作っているか?
ここで自分のことを振り返ってみたときに、常にお客様に提案できるルートを作っているか。そして、お客様がその提案に目を通す関係(つまり、この会社からのメッセージは自分にとって有益である可能性が高いという期待感)を作っているか。そんなことを振り返ってみる必要がありそうです。手段はたとえば、すでにご案内したような成功例があるメルマガでもいいし、紙のニュースレターでもいいかもしれません。あるいは、営業スタッフによる定期訪問や、電話連絡も相手によっては喜ばれるかもしれません。
大事なことは、顧客にとって有益な接触である事でしょう。有益性がない接触は、むしろ顧客の反感を高めるというデータがあるので気をつけないといけません。
この絆づくりを自社としてどうやって行くか。そんな試行錯誤を始める一年としてみてはいかがでしょうか?
