撤退ポイントは決めているか?

事業計画書には描かれることの少ない重要事項

世の中は変わる

私の地元大阪に、リンクス梅田なる商業施設がオープンしました。この中には、朝11時からお酒を飲める店が入る、レトロな居酒屋街が作られているそうです。

私はお酒を飲まないのでわかりませんが、私が知る限り普通の人は、真昼間からお酒を飲みに居酒屋に入るという話はあまり聞きません。そもそも、居酒屋のほとんどは夕方にオープンするか、昼間に営業していてもランチ営業だったりするのだと思いますから、なかなかそこでお酒をガッツリ飲むことは難しいでしょう。

じゃあ、どういったお客さんを想定しているかと言えば、恐らく旅行客なんでしょう。今大阪では、海外からの旅行客で溢れています。そういった人たちを見込んでのコンセプトなのでしょう。

しかし、こういった人の流れも、いつまで続くのでしょうか?私が考えるに、万博の行われる2025年を境に、激減するのではないかと思うのですが…

Daniel NebredaによるPixabayからの画像

変化を前提とした経営

このてのコンセプトでデビューした商業施設は、一部を除くと、10年もするとすっかりしなびてしまうことが多いように思います。特に、大規模な商業地での営業となると、次々と新しいコンセプトの店や施設が出てくるので、短いサイクルで人が流れていくように思います。

あたりまえと言えば当たり前ですが、常に変化させることを前提にビジネスをスタートさせないと、10年持たないという事になるのではないかと思います。変化の激しい繁華街での好感度ビジネスは、オープンした時から陳腐化との戦いが始まります。

この手のビジネスの場合は、そういった「陳腐化」を含めた事業計画が立てられることが多いのではないかと想像しますが、そうでない場合、自分たちのビジネスがデビュー時で完成されており、未来永劫そのまま続くと考えているケース、割と多くはないでしょうか。

私達のビジネスは別物?

商売の内容によってサイクルは違えど…

飲食店やファッションビルなど、比較的ビジネスのサイクルの早い事業であれば、目に見えて陳腐化が起こるので、それに対応した資金計画を考える前提もあるかもしれません。しかし、劣化が比較的遅いビジネスモデルの場合、そのことを織り込むことは少ないと思います。なぜなら、20年、30年くらいはもつ物、という前提で見ているからかもしれませんし、あるいは、一世代では経験しないので、比較的長いスパンで見ている研究者ぐらいしか気づかないのかもしれません。

しかし残念ですが、どんな業種でもビジネスモデルの劣化は避けられません。先日読んだ、約10年前の本にはグローバル企業の代名詞として、こんな企業名が並べられていました。トヨタ、IBM、GMなどで、今でいうGAFA(Google,Amazon、Facebook、Apple)とは少し毛色が違います。知らず知らずの間に、世の中の潮流というのは変わっていっているようです。

これまで変わらなかったものが変わり始めている

たとえば、トヨタ。トヨタは自動車屋であることを捨てる、と宣言しました。たぶんその真意は、自動車というものづくりの企業から、移動手段であったり、運転の楽しみであったりという、自動車がもっていた機能を別の形で提案できる企業を目指しているのではないかと思います。あの、日本を代表する企業であるトヨタでさえ、それだけの変身を覚悟しているのです。では、そこに関わる多数の中小企業は変わらずに済むでしょうか?たぶんそういうわけにはいかないでしょう。

そして私達もまた、何かしらの変化を考えるべき時は、すでに来ているかもしれませんし、まもなくやってくるのかもしれません。そういったときに手元の事業計画書を見直してみると、肝心な視点がないことに気付きます。社会の変化に先駆けた変化を計画していないのではないでしょうか。だから、打つ手が後手後手になってしまうのではないでしょうか。

見直しポイント・撤退ポイント

私達は、あるビジネスモデルがうまくいかなくなると、営業努力などでその現象を歯止めしようと考えがちです。それが根本的解決になるならばいいのですが、そうならない場合も多いのです。私がいる保険業界では顕著ですが、「もはや売れるはずのない商品を営業努力だけで売り続けている」という商品はけっこうあります。

そういったビジネスをどこかで見直すとか、どこで徹底するかというのは、ある程度基準を持っておいたほうがいい、と私は考えています。一度始めたことだから、とついつい頑張りがちなのですが、その際は手放すシチュエーションもざっくりとは考えておいたほうがいいと思います。

そうしないと、泥沼にはまってしまうことはけっこうあるんじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。

Daniel NebredaによるPixabayからの画像

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