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次代の変化の中で変化を迫られる企業
物を普及させる役割は終わった!?
かの松下幸之助さんは、水道哲学を提唱しました。
公園で水をのむホームレスの姿を見て、こう考えたそうです。水は価値あるものであるのに、それを無断で飲んでもホームレスは怒られない。それは、水がたくさん供給されているからだ、と。
世の中から貧困をなくすためには、この世の中を物で溢れさせなくてはならない。そう考えて、たくさんのものをより安く提供しよう、というのが当時の松下電器グループのコア・パーパスの1つだったのでしょう。
しかし、次代は変わり、モノがあふれている時代です。例えば私たちの本業である保険の販売も、店数ベースで20万件とコンビニより多くなっており、販売従事者が200万人という途方もない数になっています。今や、供給過剰と言えるかもしれません。
同じ価値観で販売を続けると…
そんな飽和状態で、販売を続けると何が起こるのでしょうか。やはり保険業界で言うならかんぽ生命の問題はまさにその象徴でしょう。世の中で求められる以上の普及を始めれば、無理をして売らないと売れなくなってきます。保険であれば営業担当者の営業力(というかごり押し)でかろうじて成り立つ売上げ。
物販のメーカーや業者であれば、使うかどうかもわからない機能を盛り込んだりして販売額を増やそうと躍起になります。
こうなってしまうともはや、泥沼です。

どんな目的を持った企業か?
1つの言葉から発展する力強い目的
たとえば、
3M→イノベーション
ディズニー→幸せ
スターバックス→第三の場所(職場と自宅の間にある避難場所)
といった具合に、急成長を遂げた企業には内外からわかる明確な目的が掲げられています。
実はこれらのことは、どこかから借りてくるというより、社内から発見するというのが近い表現になると思います。それを発見するために必要なのが、「なぜ」という言葉を使うことです。
仕事の「なぜ?」をつきつめていくと…
たとえば、今やっている仕事が印刷業だったとします。
この印刷という仕事は、なぜ、顧客から求められてきたのでしょうか。
たとえば、チラシやフライヤーかもしれませんし、会社案内とか、ポスターとか、あるいは小冊子のようなものを作成するとか、そんな目的があったのではないかと思います。
さらに、それはなぜ必要だったのかを考えてみます。
すると、会社として認知度を上げたいとか、売上げを上げたいとか、クライアントの要望にたどり着きます。
こんな風に、なぜ、を繰り返していくと物事はかなり本質的に、抽象的なところに入って行きます。その抽象的な部分で見つけた一言で言い表せる目的が明確になると、会社としてどこへ向かうかが明確になってきます。
ここまで話をブレイクダウンすると、一般の従業員としてもわかりやすい話になってきます。そうすることで力を発揮しやすい、という側面が出てくるのではないでしょうか。
「なに?」から「なぜ?」へ
ということで、これまで企業は「なに?」の問いを大事にしてきました。これは例えば、マニュアル化を進め、内部統制をしっかりさせるという考え方につながってきたと思います。しかし、中小企業がそこへ力点を持ってくると、中小企業がもつているよさを失ってしまう可能性があります。何をするより、なぜするのか。そういったことを社内で話題に取り上げることで、社員は格段の成長を見せるのではないでしょうか。
