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経営者感覚は理解不能!?
どんなセールスが行われているかを知らない法人営業
皆さんの会社にも、法人の営業担当者がいるんじゃないでしょうか。もしそうだとするなら、彼に一度聞いてみてほしいと思います。「イマドキ、中小企業にはどんな営業が行われているか?」ということを。
たとえば、経営者の間では「コピー機の営業がウザい」とか、「電話や通信関係の営業はアヤシイ」というと、ピンとくると思います。こういうことを例えば、会社の中にいる事務社員は結構知っているのですが、日頃外に出ている営業社員は知らないことがけっこうあるんじゃないでしょうか。
会社にかかってくる営業電話、きっと、どんな業種が多くて、どんなセールストークが多いか、彼らは知らないのではないでしょうか。
複合機の料金体系を知らなかった営業社員
経営や経理、総務を経験していると、コピー、FAX、プリンターが一体となった複合機の料金体系はぼんやりと知っているものです。本体をリースし、そこにモノクロ1枚〇円、カラー1枚〇円というカウンター料金が課せられているわけですが、こういったことを知らない人も意外といるものです。
この話は結構大事で、経営サイドは枚数ベースでコストがかかっているから社内には「ミスプリントには気をつけろ」というのですが、社員にとっては「どうせ紙代とわずかなトナーだいがかかるだけだろ?せこいこと言うなよ」なんて思っているかもしれません。まあ契約形態にもよりますが、たとえばカラーの10ページの原稿を印刷すれば、200円とか300円とかというカウンター料金を支払っていることを知らないわけです。これは相当な感覚のギャップといえそうですね。

相手を知らずに営業ができるか?
感覚的に通じない営業と経営者の会話
さて、今回は社内的にこういうギャップが問題ですよ、といいたいわけではありません。こういった営業社員が、外に出て法人営業したとします。商品の種類によりますが、相手が中小企業の場合、決定権者は経営者であることも多いでしょう。つまり、経営者とそれなりに分かり合う必要があります。
しかし恐らくそのコピーの料金体系は氷山の一角で、経営者にとってあたりまえの感覚が、営業担当者にとってはまったく理解不能な話も数多くあるはずです。もちろん、自分たちがかかわる商品に関連した部分では知識武装で経営者の共感を得られる話ができるよう勉強はしていると思います。しかし、ちょっとした雑談のときに、意識している事の違いというギャップを感じさせることがあるのかもしれません。
それが購買決定にどの程度影響するかは未知数ですが、少なくとも営業先の経営者との心の距離感においては、重要なことのように思います。
ライバルの研究と「聴く」という能力
所詮サラリーマンは経営者の感覚は理解できない。そう諦めてしまうのは、少し総計のような気がします。実際に私の知る営業は、割と上手に経営者の懐に入っている人がいます。
彼らが上手なのが、経営者の話を聞く、という能力です。そもそも経営者というのは自尊心が強く、尊重されることを人一倍好みます。そんな社長の気持ちをくすぐるかのように、社長の話を真剣に聞き、共感し、自分の体験のようにイメージできる想像力を持った人は、経営者に好かれる人が多いようです。先日ある若い営業マンは、社長連中に旅行に連れて行ってもらっていました(異性ではなく男性の経営者が、男性の営業マンを連れていきました)
また、一つお勧めしたいのが、ライバルがどんな営業をやっているのかです。ライバルといっても同業他社ではありません。別の業界の営業が、自分の会社にどんな営業をかけていて、どんな方法なら自社の社長は受け入れて、どんな方法ならシャットアウトするのかを研究する、という方法です。
こうした、他社の営業と自分たちの営業を比較することで、逆に自分たちのいい部分や悪い部分が明確になっていくこともあるようです。
商品だけ知っていればいいというわけではない
こういった考察からもわかる通り、営業は自社商品を知っていればいいというものでもなさそうです。多くのことに好奇心を持ち探求し、学び続ける姿勢は大事です。テクニックよりもむしろ、そういった努力のほうがむしろ重要とさえ思えるときもあります。となると、営業の教育はたんなる応酬話法のやり取りで終わるわけにはいかないのかもしれませんね。
