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本業一筋?多角化?
中小企業の多角化は失敗する?
今のように先の見えない時代にあって、経営者としては、未来へのいくつかの戦略を持っておきたいと思うものです。その一つとして、リスクヘッジとしての多角化です。少なくとも、大企業においては、多角化なくして事業存続はあり得ないという考え方が支配的です。なぜなら、大企業はそれだけ多くのリソース(資源)を持つことになるため、そこそこ大きな市場がなければビジネスを存続することができなくなります。
逆に中小企業はというと、ニッチな市場でなければ大企業の資本力に勝つことは難しいでしょう。市場が小さすぎるのも考え物ですが、多少市場が小さくなったとせよ、自分達が食べていくくらいは確保できるレベルであることも多いと思います。そんな中で自社の発展とリスクヘッジのために中小企業も多角化を行うことがありますが、残念ながらあまり成功しないケースが多いと言われています。少ないリソースを最大限活用すべき中小企業において、多角化は選んではいけない選択肢なのでしょうか?
たとえばレコード
最近「レコード」の売上がけっこういいと言います。レコードと言えば、CDやデータ配信の影でひっそりと消えていくのかと思いきや、DJブームだったりいろんな影響で再びその人気が再燃しているそうです。しかし、今やほとんどの企業がレコードの作成から撤退している(けっこうな設備が必要のようです)なかで、細々とレコードを作っていた業者に一気に仕事が舞い込んでいるそうな。
大企業やほとんどの会社が撤退せざるを得ない市場を、しぶとくやり続けていると、いつしか恩恵を得られることはあるようです。しかし、こういった会社も、他の事業で食いつなぐ、あるいは小さな小さなニーズがあればそれで食べていける状況でなければ、生き残ることは難しいと考えられます。
できるかどうかはともかくとして、可能であれば中小企業も何かしら、ビジネスの柱を複数持っておけると、チャンスは広がる可能性はかなり高くなりそうです。

中小企業で多角化を成功させたある企業
「エコロジー」というキーワードと社内起業制度
もともとある商品の卸売り業であったお客様がいらっしゃいます。売り上げは年間5億円程度だったと記憶しています。この企業は創業社長がお亡くなりになられたのち、非常にアグレッシブな社長に代替わりしました。次々と、新たな事業を展開されるのです。
手始めに行ったのはWEBによる通販です。まだインターネット通販が一般的でなかった時代に、エコロジーをキーワードとしたネットショップを展開。はじめの5年は相当黒下と言いますが、その後、会社の売上の3割を占める成長株になったと言います。後に、太陽光発電などの大物も含め、様々な事業を立ち上げ、成功させています。
社長にお話を伺うと、実際にはもっと多くのチャレンジをしていて、30歳代の社員を中心に次々と新チームを結成。彼らには事業計画を作らせ、事業の内容に応じて期限を定め、その期間内に単年度での黒字化をすべくその事業に専念させると言います。そして上手くいかなければ、別のアイデアを、ということを繰り返していると言います。
中小企業の多角化に足りないもの
もともと私の仮説としては、中小企業の多角化において「自分の強み」をうまく活かすことができない分野への進出がけっこう多いような気がしていました。そしてもう一つはコンセプトの欠如です。今までの本業とつながるコンセプトが見えにくいのではないかと思っていました。
しかし、その成功企業は、どうも強みがどうとかいう理由でうまくいったような気がしません。コンセプトという意味では「エコ」という統一感がありますが、それだけではないような気がしました。そこで実際に事業を立ち上げた社員さんにインタビューして感じたのは、「情熱」です。
一般的に中小企業の多角化と言えば、社長が陣頭指揮を執ることが多いと思います。すると社長は現業も見ていることが多く、そちらの方が優先順位が高いことが多いわけです。となると、情熱のかけ方がやはり変わってきます。たぶんですが、その情熱の深さこそが、中小企業の多角化に足りないものと言えるのではないか、と今は感じています。そのことは、実際に当社がいろんなことに手を入れてみて感じた感想です。
もし、今、中小企業の経営者が未来のために手を打って、多角化に乗りだそうとするならそのリーダーは現在の本業とは隔離された状況を作って始めるべきではないか?と私はkん自邸ますがいかがでしょうか。
