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口コミは思ったほどに広がらない?
Yahoo!が行った調査によると……
2012年、Yahoo!はTwitterにおける数百万件のメッセージを調査しました。その目的は、口コミはどの程度広がるのか?ということを研究するためでした。その結果として分かったのは以下の通りです。
メッセージのうち90%以上は、まったく広がらなかった。
たった1%のメッセージは7回以上シェアされましたが、本当に「バイラル(口コミ)」と言えるほどの広がりは認められなかった、と言います。
バイラルマーケティングとは?
その名の通り、バイラル(ウィルスのように周囲に飛び火する口コミ)を利用したマーケティング。要は、人為的に口コミを発生させ、広げようという試みです。これらは一時期、低コストで起こすことができるマーケティング戦略として、注目されました。しかし、実際のところそのコントロールは難しく、今では「ステマ(ステルスマーケティング)と言ったことを誘発することもあり、社会的にはなかなか難しい立場にあるようです。

バイラルマーケティングで情報は広がるのか?
ブロードキャスト拡散
このバイラルマーケティングを意図した仕掛けをして、情報がひろがるときは実は、口コミが口コミを呼ぶ、という構造ではないことが多いようです。むしろ、ある一人の投稿なり口コミを、同時に多くの人が目にする「ブロードキャスト拡散」と言われる状況が起こる時のようです。
これは例えば、一人一人が口コミを起こすための仕掛けをするより、インフルエンサー(時には芸能人)に、自社商品を使ってもらい、その感想をブログやSNSで語ってもらう。そうすると、あの〇〇さんが使っている商品、ということで情報は広がります。これが一般的には「口コミ」と言われていますが、実は人から人に伝わっているのではなく、一人の人の投稿や主張を多くの人が見ているブロードキャスト拡散だ、というわけです。
自分のことを考えればよく分かる
たとえば、素晴らしい商品やサービスを購入した時、私たちは何回そのことを語るでしょうか?ほとんどの場合は、1回語れば満足してしまいます。場合によっては、2回、3回語ることもあるかもしれませんが、さすがに5回、10回語ることはまれでしょう。つまり、その情報はさほど人づてには拡散しない、ということです。
となると、口コミを発生させようという努力は無駄なのでしょうか?私個人的な考え方をお話しするなら、短期的な戦略として口コミで広げようという戦略はうまくいく確率が低いと思います。しかし一方で、誰かが誰かと会った時、自分たちの商品やサービスの話題をそこに創り出す工夫は可能だと思っています。
たとえば、保険業界ではがん保険で有名なアフラックがアヒルのキャラクターを有名にしました。するとそういったグッズを持っていると、「あ、それどうしたの?」と聞かれ、自然とそれをもらったお店だとか、がん保険を契約したらもらったとか、自然と会話をそんな方向へ向かわせる仕掛けです。
これも厳密に言えばバイラルでもないですし、そもそも中長期的な戦略にはなってしまいますが、使えるマーケティング手段の一つだと思います。そういったことを考える過程は大変でもありますが楽しいものです。誰かの言ったことを鵜呑みにするのではなく、社内で緩く真剣にそんな討議をしてみると、社内の姿勢が変わってくるかもしれません。バイラルは期待できないかもしれませんが、違うアイデアが出てくるかもしれません。
