誰かの通った道は、競争が発生する道

ある文房具商店の相談

通販部門を始める?

先日ある事務文具販売を営まれる方からご相談を頂きました。今やこの業界、アスクルをはじめとするオフィス向け通販に席巻されています。当初はその代理店としてやっていこうという思いもあったようですが、営業力が一歩及ばずどっちつかずの状態が続いていると言います。

実際のところ、アスクルの台頭で売り上げは激減したものの、古くからの顧客も多く、何とかそこでビジネスを成立させているような状態と言います。その会社の経営者が言います。「ウチも通販とかやったほうがいいのかなぁ」と。

勝てるものはあるか?

手売りでうれなくなったから、通販で。20年前ならそんなやり方もあるかもしれませんが、今や、WEB上で物を買うのはあまりにも当たり前すぎて今やほとんどインパクトがありません。普通は、Amazonや楽天といった巨大なECサイトでほとんど用が足りますので、聞いたこともない企業のWEBサイトで何かを買おうという思いは湧きあがりません。

安さを売りにしてもいいのですが、一定以上安いとこれは不信感につながります。つまり、単純に、安いからとか、早いからとか、そういった事だけでWEBのビジネスに参入できるほど今は楽ではないのだと思います。WEBで成功するより、リアルな販売で成功するほうがよっぽど楽なのではないかと思えるほどに、WEBの世界はレッドオーシャンです。

コンセプト?

ではかりにWEB通販を始めるという前提で考えてみましょう。多くの業者がひしめくWEBの世界で、この会社にお客様が「お!」と目を留める何かがあるでしょうか。手っ取り早く考えるなら、やはり顧客を絞り込むことが必要だと思います。例えばですが、「コスプレイヤー御用達の店」ということで、コスプレの小道具を作るための工作グッズがそろっているとか、めったに手に入らない道具が手に入るとか、それくらいの特徴があれば、あるいはイケるかもしれませんね。

Yerson RetamalによるPixabayからの画像

他にもいろいろあると思いますが、顧客を絞り込んで、ラインナップを工夫すると、そこにファンがつく可能性はあると思います。こういったコンセプトメイキングから始めていかないと、ただ、どこにでもある商品を並べました、一番ではないけどそこそこ安いです、一応明日には届くと思います、では全くネットの世界では差別化が難しいと思います。

自分の頭で考えてみる

誰かがやっていることは二番煎じ

先ほどのコスプレ専門店ではありませんが、「誰かがやってるから、ウチもやろう」という考えは、失敗が少ない反面、成功も難しい。なぜなら、先駆者がいるからです。一方、誰もやっていないことをやるには、失敗の可能性は高い代わりに、成功した場合のリターンは大きい。

ところで、そもそもビジネスというものは、自分たちの強みを活かすことが基本です。そうなると「誰にでも満足いただける」という店づくりや、企業づくりは難しいと思います。それはきっと、大企業の役割なんだと思います。中小企業においては、むしろ、特定のお客さまとディープな関係を結ぶことが大事になってきます。そのためには、誰もやっていない、ディープな提案をでいることがやっぱり大事なのではないかと思います。

そしてそれは、たいてい物まねからはできにくいものです。

ライバルのいないビジネス

ライバルのいないビジネスは、独自性のあるビジネスです。すると、価格競争もありませんし、誰かを打ち負かす必要もありません。そんなビジネスを生み出すことが、企業における使命の一つだと私は信じています。そしてそこに向かうには、やっぱり自分の頭で考えなくてはなりません。他人がやっていることを真似して、そこから発展させるのももちろんありなんですが、それさえも単にフォロワーとしてついていくのではなく、自分の物としていく気概は必要だと思います。

Free-PhotosによるPixabayからの画像

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