お客さまの注意をひくための3つのステップ

先日、出張で東京駅を利用しました。たくさんの土産物店が並ぶなかである洋菓子のお店が際立っていました。一見、ケーキですがその表面は、緑色のコーティングが施されている商品があったのです。その色は、深い半透明の緑色で飴のようですが、とても澄んだ色で美しい。そくざに食べものとはわからない独特の雰囲気を醸していました。

数あるお土産店を素通りし、私はそのお店に吸い寄せられるように近づいていきました。

お客さまの『注意』を制する

発見される工夫

冒頭のお土産屋さんは、一般的な冷蔵ショーケースのなかに、その得体のしれないケーキだけがよく見える形で一つ、展示されていました。白いショーケースに緑に光るケーキ。なんとも目立ちます。

なぜ目立つかというと、どことなく不自然なのです。普通であれば、冷蔵ショーケースがあればここぞとばかり、様々な商品を詰め込んでいます。事実他のお店はそんな感じです。しかし、そのお店のショーケースはたった一つのケーキ。この異様さが「何事か?」という注意を惹きつけます。

さらに、このケーキ自体のデザインも普通ではありません。ケーキと言えばしろとか、ピンクとか、フルーツの色とか、そういった色はよくあります。しかし、深い半透明の緑というのはあまり見かけることがありません。実際は「お茶」の不レイバーのケーキだったのですが、周囲の装飾に「お茶」をにおわせるインテリアは見祟りませんでした。

そんな工夫もあってか、明らかに他のお店とは違う独特の雰囲気を醸していました。

dungthuyvunguyenによるPixabayからの画像

惹きつける工夫

このお店のつくりは、人を惹きつける工夫にもつながっていると思います。人が込み合う中で、遠くからだとなんだかわからない。だからその違和感を解消するために、ついにお店に近づいていきます。その時に、ああお茶か。そんな風に気づくのです。その周囲には、試食のケーキを持った店員さんがいて、私も一つ報ばりました。

斬新すぎない味

食べてみると、たしかに斬新さはあります。緑茶をベースにした飴で装飾したケーキは、飴の部分の食感とふんわりとしたケーキ自体の触感のハーモニーは絶妙です。とはいえ、新奇なものの中にわかりやす抹茶の風味があります。考えてみれば、抹茶味のケーキなんかは今までにも食べなれているし、割と好きな味です。そういった安心感とでもいうのでしょうか。そういったものが、ホッとさせられます。古いけど新しい、とでもいうのでしょうか。

そう感じたとき、抹茶好きの娘にかって帰ろうか、と財布を取り出したわけです。

『注意(アテンション)』をデザインする

人の注意を惹く3つの「注目」

このケーキのお店で私が体験したシーンはとても大事な気づきを感じさせてくれます。私たちが、特定の商品に、「気づき」「注視し」「気になる」過程をあらわしているからです。

これを『アテンション――「注目」で人を動かす7つの新戦略』(ベン・パー)では、三つの注目として開設しています。

①即時の注目
②短期の注目
③長期の注目

この三つです。

skeezeによるPixabayからの画像

「即時の注目」を生む刺激

まず、即時の注目を生むには刺激が必要です。たとえば目立つことが必要であったり、色やシンボルで無意識に訴えることが必要なこともあるでしょう。
冒頭のケーキ屋さんの場合、一般的なお店と比べたときの違和感であったり、単一商品だけを目立たせるように展示した、情報の限定であったり、様々な要素が絡み合ったのだと思います。

本来なら足を止めるはずのない人の足を止めさせるための驚きに似た感情を湧き立たせていたのでしょう。

「短期の注目」を生む集中

一瞬「ハッ」とさせられた刺激は、人は一瞬にして関心を失います。なんだかんだ言って人間というのは、一つのことに集中することは難しい生き物です。しかしこの店は、疑問を提示することで、短期の注目を生んだのかもしれません。

あの緑色は何だろう。なぜあの商品だけなんだろう。なぜ人が行列を作っているのだろう。こういった疑問が人を惹きつけて話さないのかもしれません。
そして一つの商品というシンプルさが人の心をつかんで離さないのかもしれません。(ちなみに、アップル社の製品はシンプルさがコンセプトの中心にあるのではないかと思います)

「長期の注目」のためには「知っている事」が大事

実は、何もかもが新奇である場合、人はそこから距離をとろうとします。どこかになじみ感があることが、好きになり、関心を長持ちさせるコツです。たとえば、次々と出てくるヒット曲が、「以前、聞いたことのある〇〇という曲に似ている」なんて言うことはけっこうあると思います。

そしてラジオでは、誰も聞いたことのない新曲ばかりをかけてもたぶんあまり聞いてもらえません。なじみのあの曲がかかるから、ラジオもテレビも見るのだと思います。まったくの新人を常に知りたいなんて人は普通あんまりいないですよね。

商品についてもおんなじで、どかか「知ってる」感というか「なじみ」感が結構大事なのです。

まとめてみると

人の注目を浴びるためには、
・驚き
・シンプルさ(による理解)
・重要性(を感じさせるなじみ感)
と言った三つのセットが必要なのではないかと思います。

そして人は、たいていあまり我慢強くありません。
驚き→シンプルさによる理解→重要性
の流れをできる限り短い時間で顧客に体験してもらう必要があります。

例えばお店の展示であったり、営業現場でのトークであったり、
商品の開発などについてもこういったことを頭においておくと、販売の流れが作りやすい可能性が高いのではないでしょうか。

 

【参考文献】

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