ブランドの約束、約束の責任

「気に入らなければ全額返金」。
最近こんなプロモーションをずいぶん見かけます。
これはマーケティング上、かなり強力な手法ではありますがもう少し深く考えてみるといろんな気づきがあるような気がします。

自分の会社として、お客様にどんな約束をするか。
その約束を守れない時、自分たちはどうするのか。
その結果が、「お代はお返しします」という話なのです。

30分以内にお届けできなければ・・・

宅配ピザが日本で広まったキッカケ

40歳代以上の方はこんなキャッチコピーを記憶されていると思います。
「お電話一本で、アツアツのピザをどこでもお届けします。30分でお届けできなければ料金はいただきません」

ドミノピザが日本に入ってきたときのキャッチコピーです。じつはこのキャッチコピーはとても秀逸で、多くのビジネス書に引用されています。
残念ながら今は「30分を過ぎれば無料」というのは、あまりに事故が多いということで中止されましたが、このコピーがドミノピザの日本での営業の基盤を作ったと言っても過言ではありませんし、日本で宅配ピザという市場を作ったきっかけと言えるかもしれません。

1行の言葉に込められた思い

このキャッチコピーは、戦略の教科書ともいえるような内容でできています。
まずは「お電話一本で、アツアツのピザをどこへでも届ける」という部分。これはこの会社が何を提供するかを明確にしています。

じっくり仕込んだ〇〇ソースがおいしいピザ
でもなければ、
おばあさんがイタリア家庭料理で作り続けたピザ
でもありません。

アツアツのピザです。
つまり余計な説明がなく、ただアツアツであることをハッキリとうたっていることで、顧客のイメージを鮮明なものにします。おいしいか美味しくないか、どんなソースが好きか、これはあくまで主観です。
しかし、熱いか冷めているかは、誰もが同じ評価を下すことが可能です。
そして30分以内に届けるという具体的な指標。

たぶんこれが「ブランドの約束」になるのだと思います。
お客さまにどんな価値を提供するかをハッキリ提示しています。
さらに言えば、その約束を守れなかったときのペナルティも明確にしています。
「無料」ですね。

これはあまりに宅配時の事故が多いということで、30分を越えれば無料というキャンペーンは続けることはできませんでしたが、当時のCMを知る人は誰の心にも強く刻まれていると思います。

Hans BraxmeierによるPixabayからの画像

ブランドの約束とその責任

誰にどんな価値を提供するか?

長い間会社を経営していると、少し見失うものがあります。
それは、過去の顧客、過去の商品、過去のビジネスを惰性で続けるだけで、それが果たして社会や顧客に相応の価値を生んでいるだろうか?ということを考えることを忘れてしまいます。

目の前の売り上げの上げ下げを見て、そこから目が離せなくなりがちではないでしょうか。そうすると、売り上げが下がった時に「それをどうやって上げるか?」に腐心しがちです。

しかし一つ考えておきたいのは、売り上げの減少は時として社会の変化であったり、顧客のニーズの変化であることも少なからずあるんじゃないかと思います。
そのシグナルを受け取れないと、気が付いたときは手遅れ・・・ということになりがちです。

実は私たちはどんな価値を提供しているのか?

会社でこれまでやってきたときに、顧客にどんな価値を提供してきただろうか?これを振り返ることは結構大事なんじゃないかと思います。そして、顧客に何を約束してきただろうか?

実は、自社の「ブランドの約束」が明確で、「その約束を果たせなかったときにどういう形で責任を取るか?」が明確になると、それだけで会社はかなり光を放つ可能性が高いと思います。

わかりやすいのはネット通販や、セミナーでよく見かける「気に入らなければ全額返金します」的なオファーですね。これはまさに先のピザの宅配と同じ範疇に入ります。そこそこインパクトもありますね。

本当にやるかどうかは別として、社内で検討してみる

こういった「ブランドの約束」と「その責任をどうとるか」は、実際のところお客様に案内するのが難しいこともあると思います。たとえば、私どものような保険代理店は、保険の内容が思ったものではないと思った時点で返金出来ます!と言いたいところですが、法律がそれを許しません。

出来ることもできないこともありますが、一度社内で検討してみると意識が変わる可能性はあるのかもしれませんね。

 

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