あるコーヒー貿易業のお客様は、随分前に会社がなくなってしまいました。その会社の取引先の多くは、町の喫茶店だったからです。町の喫茶店もまた、今はほとんど見かけることがなくなりました。
喫茶店は世の中で必要とされなくなったのでしょうか?
目次
明治時代にはカフェがあった!?
コーヒーを飲みたいならば・・・
昭和の時代、コーヒーを飲むと言えばとりあえずは喫茶店でした。個人経営で、比較的小さな店構えで、ソファーがあるようなお店。大抵こういったお店には常連さんがいて、近所の人のたまり場でもあったように思います。中学生の出入りは禁止されていて、喫茶店は不良のたまり場、という言われ方をした時期もありました。
しかしそんな喫茶店は、今や風前の灯火。探してもなかなか見つからないし、たまに見つけても営業しているのかしていないのかもわからない雰囲気で、足を踏み入れるのに少し躊躇するようなお店が多い印象を持っています。
ならば、安心できるチェーン店がいい。あそこならwifiもあるし、誰も関心を持たないのでそれなりに長居もしやすい。(雑誌は置いてないけど・・・)いや、時間があるならネットカフェに行こう。
そんな風に、ニーズに合わせた業態がいくつか出ています。
ファミレス、ネカフェ、コンビニカフェ、缶コーヒー、ホテルのラウンジ、今や大型スーパーにもコーヒーメーカーが置かれたイートインスペースがあります。
カフェは明治時代にブームが起こった
ここのところ、スターバックスなどの簡易のカフェといった形態が受け入れられています。しかし知らない人も多いのですが、カフェは明治時代にちょっとしたブームを作りました。時代は繰り返すと言いますが、一昔前にもブームがあり、去っていった。つまり、今のカフェの形態もまたいずれ飽きられ、別の物にとってかわられる可能性は高いと思います。
じつはスターバックスも色々と工夫していて、一時期、フードを充実させようとしました。しかしこれは、顧客がイメージするコンセプトとはズレがあったようで上手くいかなかったため、早々に戦略を転換したようです。あれだけのブランドを確立した企業も、常に小さなチャレンジをしていて、わりと失敗も経験しているということに他ならないのでしょう。
それでも多くの人はコーヒーを飲む
喫茶店が喫茶店であることを捨てたなら
さて、人がコーヒーを楽しむ場所は、昭和の喫茶店から様々な場所に変わっていきました。喫茶店の店主は当時、違った業態が出たときにこういっていたのではないでしょうか。「なんだか新しい業態が出てきたけど、あんなの自分のコーヒーに比べたらたいしたことない」。
そしてそういった新業態が顧客を獲得するにつれ、こう変わっていったのです。「味の分からないお客さんが増えた」。さらには、「アイツらはコーヒーというものを冒とくしている」。
職人さんにありがちなコメントです。常に自分が正しい、というわけです。しかし、実際のところコーヒーの本当の味を分かる人は、ごくわずかだと思います。そして人が喫茶店を利用する理由は、コーヒーを飲むだけではないはずです。人との出会いがあるとか、暑い夏に涼みたいとか、ちょっと息を抜きたいとか、1人で仕事をしたいとか。
客商売である以上、そういったお客様のニーズを知り、そこに事業を調整することは割と大事なのではないかと思います。コーヒーの本当の味がわかる人だけを相手にするのもいいのですが、であればそういったお客さんを集める工夫が必要だったのかもしれません。喫茶店であり続けるつもりなら、それを大事にすればいいし、業態を変更するならそれも一考ですが、いずれにせよ何かしらの変化は避けられないことは間違いありません。
変化に必要なものは?
では、変化をするにあたって何が重要でしょうか。これは専門分野だけではない、学びが必要です。さらにいうなら、学んだことと、目の前に起こる事をまずは自分で考えてみる事が必要です。情報の箇条書きでビジネスはできませんが、それらの項目を有機的につなぎ合わせることで、一つのビジネスが出来上がってきます。
情報と、自分の会社の持つリソースと、アイデアを組み合わせ、何かしらを生み出す努力が必要となります。もちろん、失敗もあるでしょう。あの飛ぶ鳥を飛ばす勢いのスターバックスも、失敗をたくさん経験しています。ある人に言わせると、9の失敗を経て1つの成功があればいい方、なのだそうです。
上手くいくもの、行かなかったものを含めて、様々なチャレンジと経験が必要になってくることは間違いなさそうです。
今のビジネスがまだまだ利益を生み出してくれているうちに、次のチャレンジをしておきたいものですね。