今や価格.comをはじめとして、様々な比較サイトがあります。特に、BtoCの商材を扱うにあたって、「価格競争が激しい」という人は多いのですが、それは必ずしも正しいとは言えないようです。
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人は言うほど合理的ではない
価格の比較は2か所以下
アメリカである大規模調査が行われました。12カ月にわたり、個人で使われるインターネットの履歴を調査・分析したそうです。その目的は、人は合理的にモノを買うか?というものです。あまりにも膨大なデータになるため、三つの商品に限定して価格比較をどの程度行ったかを調査しました。
その結果は、一つの商品につき、比較として見たサイトは平均で1.2~1.8。どういうことかというと、何かを買おうとしたとき、いちいち複数のサイトで比較して購入する人はさほど多くはない、ということです。
たしかに文化はあるけれど
例えば私の住む大阪ですと、主婦の自慢は「いかにして安く買ったか?」という話題になる事が少なからずあります。ですから、全員が全員、比較しないかと言えばそうとも言えません。また、買う商品によっても違うでしょうから一概には言えません。
例えば私が個人的にノートPCをネットで買ったときには、「最も高い店」と「最も安い店」は避けました。高い店は誠意が見えないし、安い店は信用できない気がしたからです。ちょうど真ん中ぐらいの信用できそうなお店を選択しました。
買いやすさ・見つけやすさの大事さ
「おもてなし」は幻想である!?
『おもてなし幻想』という書籍では、97,000人のお客様に調査を行いました。その結果、「感動サービス」は顧客ロイヤリティを高めるのにあまり寄与しないことがわかりました。むしろ、欲しいものを、出来るだけ手間なく手に入れることができることが、顧客ロイヤリティを高めるポイントだと言います。
なるほど私自身も、感動サービスがないよりかはあったほうがいいと思いますが、それがお店を選ぶ決定だとはならないことを自分の経験として感じています。
たとえば、服屋さんに行ってあれこれおすすめを教えてくれる店員はウザいだけ。そんな経験をされた方は多いのではないでしょうか。疑問に感じたことをいいタイミングで解決してもらえることこそが重要だと思うのです。
はい。顧客はワガママなのです。
チェックしてみよう
たとえば、車を売却したいと思ったとします。とにかく今すぐ知りたいのは、自分の車がいくらで売れるかです。その時、WEBサイトでこまごまとした情報を入力し、即座に相場がわかればそのまま問い合わせに進む可能性はかなり高いと思います。いつも重い気持ちなのは、そういった情報を入力した後、すぐに値段はわからず、次々と営業電話がかかってくるのが嫌なのです。だから即座に値段を出さないWEBサイトで私は車の売却の問い合わせをすることはありません。
じゃあどうなるかと言えば、高くは買ってもらえるかどうかはわからないけど、ディーラーの下取りに出すわけです。面倒を避けたいのがお客様なのです。
そこで、自分の会社は、お客様が自分の問題を解決したいとき、あなたのことを思いだす仕組みがあるでしょうか?即座にその答えにたどり着ける方法が用意されているでしょうか?そういったことをチェックしてみるだけでも、いろんなアイデアが出てくるかもしれません。
値段のせいにする前に
どうしても商売をしている側からすると、真っ先に疑いたくなるのが「値段」です。しかし、本当に問題は値段でしょうか?もちろんそういった場合も多分にあると思います。
たとえば、最近は少し勢いがなくなってきていますが、コンビニは決して安売りはしていませんでした。基本、定価販売です。しかし、便利さという価値に対して私たちは何の迷いもなく、スーパーより高い値段の支払いをしています。それは、店内の狭さもありがたいし、大量の客がレジに並んでいないこともありがたいし、さっと入ってさっと帰るにはちょうどいい規模感なんですね。
たんに24時間営業しているから支持されているわけではなかったと思います。
こういった工夫はどんな業種でもできると思います。特に、BtoBの業種は少しBtoCの業種と比べて流れが遅い傾向があると思います。プリントパックやラクスルなどの業者は安さや手軽さも選ばれる理由ですが、早くできるというのも魅力の1つでしょう。
つまり値段の呪縛から逃れるべきなのはお客さまよりむしろ事業者側なのかもしれません。そんなことを考えていくと、一定程度の利益率を保ちながらできる工夫、まだまだあるのかもしれませんね。
画像提供元 ElasticComputeFarmによるPixabayからの画像