経営者、管理職の立場の人間として思うことがあります。営業社員の効率を上げられないか?ということです。
とかく営業と言えば、先輩営業社員に同行させてみせる。そしてあとは自分で研究しなさい、と突き放すことが多いのではないでしょうか。事務社員は何をどうすればいいかが明確だから、誰でもある程度のレベルまでできますが、営業はそれがないから落ちこぼれができてしまうのではないでしょうか?
目次
営業という仕事にマニュアルはない
どんな顧客に会い、どんな話をするのか?
営業に細かなマニュアルはないことが多いと思います。相手は千差万別で、その多種多様な顧客を相手から「YES」を引き出すための方法をパターン化することが難しいからかもしれません。
そういったときに、一定の「型」を社内で統一したいという経営者や経営幹部、管理職の方は思われるのではないでしょうか?
その時のポイントとして、
1.どんな顧客を対象とするのか?
2.どんな商品をお勧めするのか?
3.どんな資料を使うのか?
4.どんな話から入るのか?
5.どんな質問を行うのか?
と言った五つの項目を意識する必要があるのではないでしょうか。
無数に広がる営業の「パターン」
営業においては、現場における臨機応変さが求められると考えられます。顧客のニーズに則って、そのニーズを満たす提案をする必要があるわけです。おそらく、手持ちの商品がたった1種類という企業は少ないと思います。すると、その場の状況に合わせて、状況に応じた商品をアピールせよ、ということになるのだと思います。
では、その無数に枝分かれする営業のステップを、果たしてマニュアル化や画一化ができるでしょうか?おそらく難しいでしょう。出来たとしても、そのシナリオをおぼえることなど至難の業と思えます。まずはできそうにないと感じる事より、出来そうに思えることから始めることが肝要なのではないでしょうか。
絞り込んで一つの成功パターンを作り上げる
顧客を絞り込む
個人でも、法人でも、男性でも、女性でも・・・と想定する顧客層が広くなればなるほど、その人に刺さる話を考えるのは不可能に近くなってきます。老若男女、社員も経営者も気になって身を乗り出すような話はそうそうあるものではありません。そこで、顧客を絞り込んで考えます。たとえば、製造業の設計部長であるとか、女性で30歳代の子持ちママとか。そうすることで、ある程度共通項を探すことができ、必勝パターンづくりに近づくことになります。
商品を絞り込む
あれもこれも、と商品ごとのセールストークをおぼえこむのは、なかなか大変です。そもそも、話の流れに応じてそのトークを繰り出すというのは職人芸ともいえるかもしれません。また、そのセールストークが本当に有効なものかも検証できていないわけですから、「使えないトーク」「響かないトーク」を延々と繰り返している可能性もあります。まずは上記の顧客のみならず、商品を一つに絞り込んで考えてみましょう。
これら二つの組み合わせで、高い確率で顧客に響くトークを何度も何度もテストして作り上げていくのです。
どんな資料を使うのか?
資料も重要ですが、ありきたりなパンフレットがいい場合もあれば、それなりに作りこんで企画書があるほうがいいかもしれません。そしてページの構成もそうですが、顧客の関心度に合わせて、いろんな組み合わせを試してみます。そのうえで最もいい反応を示す資料と、それらを出す順序などを検討します。
どんな話から入るか
実は、セールスにおいてはここがとても重要になる部分でしょう。一般的には顧客が正座して身を乗り出す(あくまで比喩です)ような状況を創り出すことが目的です。だから、顧客の興味の対象をとらえた話をこれからしますよ、というキャッチコピーのような短い話が必要かと思います。これも、チームでいろんなものを出し合い、テストを繰り返すことで、ある程度確率の高い鉄板トークが出来上がるでしょう。
重要なのは、顧客と商品を固定しているからこういった検証が可能になります。どんな顧客でもいいからやっちゃえ、となると話題の共通点は見出しにくくなると思います。
どんな質問を行うか
これは話の流れを潤滑にする質問であったり、実際に見積もりなどの実務に必要なことのヒアリングであったり、内容はさまざまでしょう。一般的にセールスは話過ぎるとよくないと言われます。顧客は自分のことを話したいのです。それをある程度の時間は効く時間を持つことで、信頼関係をはぐくむことができます。人は、その人の話を聞いた時間以上に、自分の話を聞いてくれた時間で相手を判断します。そういう意味では、円滑な話題提供のための質問も持っておくといいかもしれません。
テスト、テスト、テスト
チームプレイが生きるとき
これらのことは、常にテストし、お客さんの反応を分析します。その母数を増やすには、チーム全体で同じことをトライすることによって一気に情報量が増えます。一定期間、同質の顧客へ、同じ商品を、同じトークで売ってみて、その販売結果や、顧客の感触をチェックします。思うような成果が出なければ、どこをどう変えていくかを討議し、また実践にうつります。いわゆるPDCAサイクルですね。これを繰り返すことで、特定の客層への特定商品の販売には非常に強い販売チームが出来上がる可能性が高まります。
あとは、その強みを活かして、その層の開拓に励むもよし、そういったやり方を別のジャンルの顧客や商品でも行っていくもよし、選択肢は広がります。
重要なのは、テストとその結果のフィードバックです。
Malachi WittによるPixabayからの画像