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中小企業もやってみたい両利き経営
「探索」と「深化」
今、一部で話題の「両利きの経営」っていったいどんなものでしょう。元ネタになった書籍のAmazonの説明文にこんな風に書かれていました。
「両利きの経営」とは?
『両利きの経営』Amazon紹介ページ
知の探索……自身・自社の既存の認知の範囲を超えて、遠くに認知を広げていこうとする行為
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知の深化……自身・自社の持つ一定分野の知を継続して深掘りし、磨き込んでいく行為
私なりの解釈でいくと、従来の事業を深め、磨くのが、深化。
新たな事業の発見を目指して動くのが探索ではないかと感じました。
急進派と現状重視派での確執
一般的な中小企業においても、「会社をどんどん変化させよう」という考えと、「従来のビジネスをもっとしっかりやらないと」という考えがぶつかることは多いと思います。今までの考え方なら、これを統一し、同じ方向に進むべき、というのがありがちな考え方だったかと思います。しかし、海外のビジネス大学の先生によると、これらを同時に動かすことが肝要という結論を出しています。
書籍『両利きの経営』においては、その成功企業の事例がたくさん紹介されています。その多くは比較的大きな規模の会社ばかりですが、あるいは中小企業においても同じ考え方が使えるのではないかと思ったりします。もちろん、人材の厚さが違うので、同じレベルではできないのかもしれませんが、チャレンジする価値はあるのではないかと思います。
両利きの経営を実現するリーダーシップ
両利き経営のリーダーシップの五原則
書籍には、両利き経営におけるリーダーシップについて書かれています。
①心に訴えかける戦略的抱負を示して、幹部チームを巻き込む。
両利きの経営―「二兎を追う」戦略が未来を切り拓く(チャールズ・A・オライリー, マイケル・L・タッシュマン)
②どこに探索と深化との緊張関係を持たせるかを明確に選定する。
③幹部チーム間の対立に向き合い、葛藤から学び、事業間のバランスを図る。
④「一貫して矛盾する」リーダーシップ行動を実践する。
⑤探索事業や深化事業についての議論や意思決定の実践に時間を割く。
これをみると、かなり難しい。
チームを鼓舞するような未来を見せ、探索と深化の緊張関係のバランスを取り(緊張関係が発生する前提)、対立に向き合い(対立が起こる前提)、しかも「一貫して矛盾する」という二つの顔を使い分ける必要が出てきそうです。これを中小企業の場合、一人の経営者がやる事になる場合が多いように思いますが、それって至難の業かもしれません。
ただ、とても大事だと思うのは、部門間の緊張関係や対立は起こる前提である、ということ。私たちはこういった不和が見えると、ついそこで道を進むことを辞めてしまいがちですが、緊張や対立は起こるもの、と知っているだけでも気持ちの余裕はずいぶん変わってくるかもしれません。
リーダーの能力が重要?
リーダーの五原則を見てみると、リーダーの役割の重要さがよくわかります。役割と言っても、強く支持する役割というより、非常に微妙な機微を調整する職人芸的な人間関係調整が必要となってきそうです。実はそれが非常に難しいから、企業というのは単一の方向性しか示すことができなかったのかもしれません。二兎を追うには、リーダーの許容度を大きく広げていくことが必要不可欠なのかもしれません。