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ある団体運営にかかわって感じた事
一つの目的があることで結束を高める団体運営
この年になるといろんな経営者団体に関わったりする機会もありました。最も印象的だったものの一つが、ある同業社団体でした。その団体は、創設時はまだインターネットの黎明期。インターネットというよりパソコン通信の時代だったのですが、その時期に「次世代にむけて、まずはメールを使えるようになろう」という仲間が集まって発足しました。もちろん、メールというのは手段の一つで、本来の会の目的は同業者の未来戦略をともに考え、実践しようというものでした。しかし、メールというわかりやすい踏み絵があることもあって、とてもその会は活気を帯びていました。
メールができないというと、かなりおせっかいに役員が手取り足取り教え、できるようになるまで指導する。ある意味体育会系で、はじめのころはいろんな人原関係のトラブルもあったようですが、それが落ち着き始めると、とても会としての活性化が進みました。
一つのハードルを越えたところで階段の踊り場に立つ
そのだんたいは、だんだんと世間的に「仕事にメールを使うことは当たり前」という時代になり始めると、方向性を見失い始めました。本来からの「経営を良くする」というところに改めてフォーカスしようと考えたりもしたのですが、同業者の方の多くはどちらかと言えばそういったどこか抽象的な話よりもむしろ、手元の技術やスキルといったところに関心のある方が一般的です。結局、経営の話をする団体、というところへの転身はずいぶん苦労しました。
振り返って考えてみると、とても小さなことであっても、具体的な目的を掲げたほうが組織はまとまりやすいんだな、と感じた経験です。
会社という組織が掲げる目的
私たちは何を目指すのか?
会社として、世界を良くすることにコミットする、というのは今や常識になりました。たとえば、「〇〇を通じて、豊かな社会を築きます」という定番の理念を多くの企業が抱えています。しかしこれが有名無実になっていることもあれば、社員メンバーがピンと来ていない、あるいはマネージャー層そのものがそこにコミットしていないというケースも少なからずあるように思います。そうした時に、集団が団体としての形を成すための目的は、やっぱり「お金」の関係になっていくのかな、という気がします。
会社と社員は、報酬でつながってしまうわけです。すると、給与がたかいとか安いとか、仕事がハードとかそうでないとか、そういった価値観を惹起させるような気がします。
一般の同業者団体と違って空中分解を始めないのがお金。それはありがたくもあり、難しくもある状況かと思います。
しかし前述の通り抽象的なものだとわかりにくいので、それを具体化したものが必要となってきます。それがおそらくビジョンというものなのかと思います。そんな役割を意識した、ビジョンの設定をしていくことはこれからますます重要になってくるように思います。それはもしかしたら、とても具体的なものがいいのかもしれません。