営業会議への参加は、ツラい。
そういう社員は多いのではないでしょうか。
今やちょっと強く言えば、パワハラになってしまう時代に、営業会議のあり方を見直すことも重要なことかもしれません。
目次
ムリヤリ動かそうとする営業会議
プレッシャーを与える場?
私の知る限り、多くの営業会議ではこんなことをされているのではないでしょうか?
・現在の進捗状況・実績の確認
・今後のアテンド予定
・目標値に届かない場合の追加施策
などなど。
営業というのも仕事上のプロジェクトですから、進捗の確認と、遅れに対する対応などは重要なことでしょう。しかし、多くの場合これが「公開処刑」と言われているようです。なぜならば、営業がうまくできていない社員にとっては、自分の仕事ぶりを責められているかのような感覚をおぼえるからでしょう。
そして、そういったプレッシャーを与えることで、一時的に業績が上がるというのも事実です。しかし一方で、困り果てた営業社員が不祥事を起こすのもまた、そんなプレッシャーが原因と言えるのではないでしょうか。
PDCAのAがない会議
最近、「PDCA」つまり、計画、実行、評価、改善といった一連の業務の改善サイクルを重視する風潮が再び高まっています。このステップに当てはめて考えてみると、こういった営業会議にはCまではあります。Cと言えば評価。ちゃんとできているかどうかを見てはいるのですが、「改善」のステップがありません。
つまり、人力、しかも火事場のバカ力的な能力を期待するのみ、という会議にはなっていないでしょうか。もし、毎月、毎月、このような緊迫した営業会議を繰り返し、毎回営業社員の尻を叩いているとしたら、なにか問題があるのかもしれません。普通、業務は「安定して流れる」ことが一つのゴールととらえている事と思います。しかし営業だけはなぜか、行き当たりばったりになりがちなのです。
指導できない営業マネージャー
営業優績者は自分の能力を言語化できない
私どもは保険の営業をやっていますが、成績の優秀な営業社員は実はたいてい言語化が苦手な社員だったりします。感覚的で、「野生の勘」でやってると言います。また、自分がうまくいっている理由もつかめていません。かの元メジャーリーグのイチローは、「自分をコーチする能力」が重要である、とあるインタビューで語っていました。しかし、営業で優秀な社員も、必ずしもそういった能力を持っているようには見えません。当然、どこかで頭打ちになったり、スランプに苦しむこともあるかもしれません。
ましてや後進を育てられないマネージャーとなると、会社としてもだんだんと扱いが難しくなってきます。
誰も営業社員を育てていない!?
私たちの業界では、自分の食い扶持を稼げる営業社員は、10人に一人もいない、と言われています。それはなぜなのでしょうか。これまでお話ししたことを合わせて考えると、「社員を営業のプロに育てるプログラムが社内にない」ということに他ならないのではないかと思います。
たとえば、機械作業や事務作業は、マニュアルがあったり、先輩が教えてくれたりして「こうすればうまくいく」という方法が社内で共有されています。しかし、営業に関してはそういったこともなく、厳しい営業会社なら「ライバルに秘訣を教えるものか」とばかりに自分のコツを教えようとしない、なんていう話もあるくらいです。会社全体としては、これは大問題です。
なぜなら、営業優績者が退職すれば、会社の売り上げはがた落ちになる事が予想されるからです。
営業優績者のノウハウを共有する簡単な方法
実演する
優績者のコツを社内に共有する非常にシンプルな方法は、営業会議の席上において、最近の成功事例を「完全に再現する」ということです。
「それって、ロープレでしょ?」
という方もいらっしゃると思いますが、そんな生易しいものではありません。言ってみれば、その営業現場をビデオカメラで撮っていたものを再生するかのように再現するのです。使った資料や準備、はじめのあいさつ、挨拶に対するお客さんの反応、そのあと行ったふるまい、そして挨拶後に初めて発した言葉、すべて余すことなく再現します。
「この時、〇〇という商品の特徴を紹介しました」なんて言うのはダメです。ちゃんとお客さんに言った言葉そのまんまを、出来るだけ当時のまま再現してもらいます。
先生は、社内で成績が優秀なモノであったり、たまたまであっても力を入れた商品を販売した人だったり、毎回変えていいと思います。セールスのすべてのステップを再現するので、1~2時間はかかるかもしれません。
セールスの実演で得られること
これを行うことで、たいてい、同席した営業社員には何かしらの発見があります。ああ、この資料を使っていたのか、とか、こういった話にはこう対処するのか、とか。その気づきはその人のレベル感でそれぞれですが、日頃見ることのないセールスの風景をみんなで見ることができることはそうそうありません。
時間があれば、お互いが気付きを共有することで、さらに学習は深まります。そして実は、先生役になった成績優秀者にも学びがあるはずです。自分が一体何をやっているのかを意識して振り返ることができるからです。
中小企業においては、営業のステップを一つ一つ検証したり、営業社員を手取り足取り指導するのは難しいと思います。そういった中で、営業社員を育てつつ、個人の営業スキルを会社の共有財産として活用できる方法として、一度試してみられてはいかがでしょうか?当社においても、毎回ではありませんが何度かやってみたところ、常に新しい発見があったおすすめの方法です。