いつ私たちが記者会見するかはわからない
ある保育園の話
もう、その保育園も営業していないのでお話ししても大丈夫でしょう。当社とかかわりのあるあるお客様は保育園を経営されておられました。そしてそこで起こったのが食中毒です。O157の疑いがあったと言います。
ときおり話題になるO157でしたが、少し季節外れでもあり、保育園ということで小さなお子さんが被害を受けたため、一歩間違えばマスコミの格好の餌食です。理事長先生は、非常に賢明な方でしっかりとした対処をしておられましたが、起こったことは隠しようがありません。もちろん、十分な対策もしていましたが、この手の問題というのは小さな隙間からしみだしてくるものです。このケースにおいても、まさかそんなことから、と思える可能性が浮かび上がってきました。
実際のところ、保健所にも連絡をおこない、自費で感染源の調査をお願いされましたが断定的なことは言えないまま終わってしまいました。つまり園側の責任かどうかはわからないけど、どうやらその保育園の関係者の中でO157がひろがっているらしい、という状況でした。
小さな地方の企業の不祥事が報道されることも
こういったことに限らず、私どもは保険という仕事を通じて様々な業種のお客様を見ています。すると、報道に出てくる様々な企業の謝罪会見もまた、私たちにとっては教材です。ああ、あんな企業があんな問題で、話題になっているんだ。そしてこういう対応をすれば火に油を注ぎ、こういう対応をすれば逆にファンが増やせるんだ。なんとなくそんな風に数々の事例を見ることができます。
するとたまに、先ほどの保育園のように「一歩間違えれば全国のニュースになりかねない」事件や事故がおこったりすることがあります。この件は実は、園側の責任を問われる形ではなかったものの、しばらく起こっていなかったO157騒ぎが保育園という小さな子供たちが集う場所で起こった、ということでニュースに取り上げられました。
何が言いたいかというと、全国ネットで報道される事件や事故は大企業のものだけではない、ということです。

自分ならどうふるまうか?
宮迫氏・田村亮氏の会見と岡本社長の反応
世間的にはいろいろなとらえ方がありますが、もともと闇営業問題があり、それについて嘘をついていた、と言われる宮迫氏、田村亮氏が記者会見を行いました。そこで彼らは、事実を認め謝罪し、一つの新たなトピックを置き土産として爆弾を置いていきました。それが、吉本興業の社長、岡本氏による圧力(パワハラ的)発言です。
ここで世間は一気に流れを変えていきました。二人に同情的になり、そもそも闇営業の何が悪いのか、という意見から、それをせざるを得ない会社が悪いとか、すっかり問題の所在は別のところに行ってしまいました。そしてその火の粉をかぶった形で岡本社長は会見に臨みました。
それぞれに対する感想は、見た方それぞれのとらえ方があります。何が正しいとか過ち化を問いたいわけではありません。しかし、経営者という立場にいる私たちは、これだけダイナミックな会社、従業員、世論、マスコミといった事件を取り巻く状況変化をリアルに受け取る機会はそうそうないのではないでしょうか。
こういった時こそ、自分ならどうふるまうか。
そういうことをシミュレーションすることが大事なのではないかと思います。そういった様々なシーンへの予行演習が、経営者としての軸を作るのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
