経営者でありながら、物事を考えるのがあまり得意ではない。こういう方、結構いらっしゃいます。そういう方は、体育会系というと問題かもしれませんが、先輩であったり、先人のやってきたことを忠実に頑張るということはとても得意な方が多いと思います。驚くほどの粘り強さや瞬発力を発揮されるのに、いざ、「じゃあ、考えてみましょう」というと一気にしり込みされる方は結構いらっしゃいます。こういった方が、戦略的発想を行うにはどうすればよいのでしょうか。
目次
一呼吸おいてみる
行動=反応になってませんか?
なかなか考えて物事を進めることができない。そう頭を抱えられる経営者は結構いらっしゃいます。とにかく、考える前にやってみる。これは決して悪いことではないし、経営者としては持つべき資質の1つだと思います。しかし、やってみて、上手くいかない。これを何度も経験していると、だんだんと嫌気がさしてしまうこともあるかもしれません。こういった方は、傾向として「やり方」ばかりを学ぼうとします。そしてその学んだ「やり方」を忠実にやろうとします。その結果、実績が再現できない、ということがけっこうあるんじゃないでしょうか。
物ごとには試行錯誤が必ず必要です。自転車に乗る方法は誰でも知ってますが、知ってるからと言って乗れるわけではありません。経営における様々な施策も、やり方を知っているからと言って上手くできるわけではありません。そこに試行錯誤が必ず必要になります。
反応に任せた動きは長続きしにくい
比較的思いついて、すぐにやってみる人の傾向として、続かないということがあるような気がします。とりあえず思いついてやってみる。けど一発でうまくいかなければ、次の方法に関心を示していってしまう。つまり、練習をして身に着く前に、関心は別のところに行ってしまうのです。
この時に、組織がきちんとできていると、社長が「次のことに関心を示している」状態でも、従業員がコツコツとやり続けてくれます。だから会社全体としての業績は上がることがあります。ただ、移り気な社長の下では、会社のなかも浮ついた雰囲気が漂うことが多くあります。やり始めるのはいいのですが、やり続けないことが、上手くいかない原因の一つかもしれません。
やるまえにちょっとだけ考える癖をつける
そこでそういったタイプの経営者にお勧めしたいのは、やり始める前に一瞬でいいので考える(というより我に返る)時間をとってみる事。もうほんの数秒でいいのです。その時に、「今こういう情報を得て、即やってみようと思ったけど、それは本当に必要なことだろうか?」と問いかけてみましょう。それでOKなら進めればいいし、いや、ちょっと待てよ、となれば少し検討してみます。
100回のうち98回くらいは、たぶん「進め」となると思いますが、2回くらいは思いとどまるんじゃないでしょうか。その2回分は、少し時間を増やせたことになりそうです。
その時間を、物事を続けることに仕向けてみてください。効果のないことをやめる決断も大事ですが、往々にして行動派の社長は続けられない人がとても多いのです。
誰が得をするか考えてみる
ビジネスモデルを感覚的に理解する
例えば世の中には不思議なことがいっぱいあります。
たとえば、何かに申し込めば無料で〇〇がついてくるとかですね。フリーミアムと言います。こういった何か価値あるものやサービスを無料で提供すると言っても、誰かがそのコストを負担しています。古くからあるものとして、Gmailは無料で使えるありがたいメールでした。しかし、その機能を維持するためには、サーバーが必要だし、メンテナンスや、プログラマーが必要です。それでもなお無料で提供するには、それだけの価値があるからです。じゃあ、その価値はどこから得ているのでしょうか。
無料や割引サービスは、誰かがそれをしてもなお儲かるという予測があるからやっているわけです。その時、だれがどのように儲かるか?を常に考えてみる癖をつけてみます。時には、友人と意見交換するのもよいでしょう。そうすることで、世の中で起こる事の仕組みがだんだんと理解しやすくなります。というか、そもそも何かが起こった時、その背後にどんな関連性があるかを想像する癖がつきます。
これはビジネスだけでなく、ニュースなどでもそうですね。今このニュースが広まる理由というのが、どんなニュースにもあったりするものです。
他業種のビジネスを抽象化してみる
「抽象化」という言葉が最近よく使われます。これはどういうことか少し説明します。
たとえば、猫を例に考えてみましょう。
アメリカンショートヘアーという猫の種類がありますが、これはかなり「具体化」された猫の種類です。これを抽象的に見ていくと、そもそも猫である、という考え方になります。猫は哺乳類の一種類なので、哺乳類でもあります。
アメリカンショートヘアー → 猫 → 哺乳類
この流れで見ていったとき、「哺乳類」というのはより抽象度が高い、といえます。
じゃあ例えば、美容院というビジネスがあったとします。これを抽象化していくと、サービス業であり、営利事業という抽象化もできるかもしれません。サービス業というレベルで考えると、美容院の事例はサービス業の中で応用できるものがある可能性があります。
たとえば、私たち保険代理店というのは、サービス業と言われています。すると、美容院との共通点があるかもしれません。たとえば、売れっこ美容師と、売れる保険セールスパースンにはなにかしら共通点があるかもしれません。

抽象化したうえで具体化してみる
先の例でいえば、美容師が売れるためには話術が大事だったとしましょう。それはもしかしたら、セールスパースンにも共通していそうです。美容師の話術は、楽しい話をするというより、お客さんのいろんな悩みや思いを引き出してあげる聴く技術だったとしましょう。それが保険セールスに役立つ可能性は高い。すると、美容師向けの「話術セミナー」や「美容師のための会話技術」みたいな本が参考になるかもしれません。
実はこういった異業種の事例を取り入れるに際して、かならず「工夫」が必要になります。その過程こそが、人の頭を柔軟にする効果があるという話もあるそうです。そして、異業種で当たり前にやっていることが、自分たちの業界で全く行われていないことも割とあります。これをやるだけで、かなりの差別化要因を作ることも可能です。
最も大事なことは・・・
まとめとしてお話しさせていただくならば、最も大事なのは「考える」ことを習慣化することです。たとえば、私はさび付いた頭を動かすために、毎朝ムリヤリ3つのアイデアを絞り出すよう頑張っています。そのアイデアはノートに書いているのですが、見返すのも恥ずかしいぐらいろくでもない者ばかり。しかし、毎日やっていると数カ月に一回くらいは、「これは!」と思うきっかけになるものがあるものです。
そして脳は、クセをつけるとそのように動いてくれます。考える癖をつければ、必ず考えられるようになります。そこまでがんばってやってみませんか?やり方は簡単です。常に身の回りにノートを準備しておきます。かくものは何でもOK(私は鉛筆を使っています)。スマホでもいいのですが、実際に手を動かして描いたほうが脳に刺激が伝わり、より良い結果が得られるようです。
やることはそれだけ。そして10分ほど時間を取り、とにかく3つのアイデアを書き留めます。そして週に一度くらい、それを見返すだけです。
たぶん、アイデアの質が少しずつ変わってくるのに気づくんじゃないかと思います。
コストはわずか、時間は一日10分。やらない手はありませんね!?
